期待させないでよ──…
□毛糸の色は……
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「私? 私は、これかな」
え……待って!?
思わず二度見したけど、目の錯覚じゃない。
さっちゃんが選んだ毛糸は、ピンクだった。
パッションピンクみたいに濃すぎなわけでもなく、白っぽいほど薄いわけでもなく。
程よい濃さの、ふんわりしたピンクだった。
……確かに、センスはいいんだけど!
でも、ピンクって……どうなんだろ……?
「さ、さっちゃん……。それ、黒子君にあげる用、だよね?」
「うん? そうだよ? 似合うと思うなぁ〜」
あっけらかんと答えるさっちゃん。
……男の子って、ピンクに抵抗があると思うのは私だけなのだろうか。
「雪愛は赤にするんだ。……雪愛って、赤司君好きだもんね」
ニヤニヤと笑いながらさっちゃんが言う。
ええっ!?
なんでバレて……ううん、きっとからかわれてるだけだよね。
「ち、違うよ! たっ、単に、ア◯ノのマフラー作りたかっただけだし!」
「え、カゲ◯ロ!?」
間髪を入れず、さっちゃんのツッコミ。
とりあえず好きな人のことは誤魔化し、無事に毛糸を買うことはできたから……いいかな。