Short story
□これって、運命……?
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あれから近くの喫茶店に入り、その男の人──森山さんの奢りでアイスティーを頼んだ。
それから少し話して、森山さんが実はまだ高3だということもわかった。
私は高2だから、つまり森山さんは私のひとつ上。
身長の高さと言い、顔と言い、大学生にも見えるのに……意外。
あと、ついでに、さっきまで言っていた「僕」は猫をかぶっていただけだということもわかった。
「オレの誘いに乗ってくれた女子は初めてだよ。
ねえ、本格的にオレと付き合わ……」
「なんでそうなるんですか」
森山さんがろくでもないことを言い出したので、遮っておく。
「それに、今時あんなナンパの常套句でオトされる女の子なんて、いないと思いますよ」
「ええっ⁉︎ 女子って運命って言葉好きなんじゃないの⁉︎」
運命なんてものを盲信してるのは、真太郎だけで十分だわ!
全く……そんなこと口走ったりせずに、普通にしていれば可愛い女の子の1人や2人には好かれそうなのに。
……なのに、なんで。
……なんで、こうなのかな。
「だいたい、ナンパで運命とかいつの時代ですか、古すぎません?」
少しキツくなってしまった口調でそう言うと、
森山さんは少し泣きそうに……
……なったけど、すぐ笑顔に戻って、
「だけど、ナナちゃんはオチてくれたよね?」
なんでそうなる。
「いや、そういうわけじゃ……」
「あ、もしかして、僕が今までもナンパしてきたことに妬いて……」
「いや、だから、話聞いてください!?
ただ、私は真顔で運命とか口走る人に、呆れを通り越して一周回って、逆に興味が湧いただけですっ!」
だから、あの、なんで「このツンデレめ!」みたいな目を向けてくるんですかね!?
「あーもう、ほんと違いますからぁ……」
急にまた、「オレと付き合わない?」と、しつこくなった森山さんに全力でお断りしつつも、
連絡先ぐらいなら、教えてもいいかな、なんて少しだけ思ってしまった。
これって、運命……?
(ほんとにそうなるかは、これから次第)
*fin*