期待させないでよ──…
□部活の休憩時間
1ページ/2ページ
「雪愛ーっ!!」
部活の休憩時間が終わり、タオルとスポドリのボトルを回収していると、
急にさっちゃんに抱きつかれた。
「さ、さっちゃん!? え、えと、どしたの!?」
「ヤバい! 今なら死んでもいい!!」
「い、いきなりどうしたのーっ!? ていうか、さっちゃん、死なないで!?」
「だって、幸せすぎて……!! あのねあのね!」
ムダにさつきの主観が入っていたのでまとめると、こういうことらしい。
・休憩時間に黒子君にタオルとスポドリを渡した
・そしたら、「ありがとうございます」と笑ってくれた(さっちゃんの言葉を借りるなら、天使スマイル)。
・で、今幸せだと。
「よかったねっ! 黒子君の笑顔はレアだよ!」
そう言いながらも、私はさつきが羨ましかった。
私、全然積極的になれないからなぁ……。
それどころか、目が合うだけでもドキドキしすぎて何も考えられなくて……
「あ、そうだ、雪愛。いいこと教えてあげる」
いいこと?
「何かあったの?」
そう聞いても、さつきはふふふと笑ってるだけ。
……なんか怖い。
「ねーえ、さっちゃーん?」
さっちゃんの肩をゆすると、やっと教えてくれた。
「あのね……」
さっちゃんの話は思った以上にいいことだった。