期待させないでよ──…

□いつもの日々
1ページ/1ページ

「涼太、今日の試合、ノルマの20点ギリギリじゃないか」

「す、スイマセンっス!!」


黄瀬君が赤司君の見えない圧力にビクリと体をすくませる。


「ホントギリギリだな」
「ホントギリギリだね」


ハモる幼なじみ2人。


「赤ちん、そんなことよりお菓子食べてていい?」

そして、完全にそんなことには無関心の紫原君。



「全くなのだよ」

緑間君がため息をつく。

「もっと人事を尽くせ、黄瀬」

そう言って、緑間君は赤司君にハサミを渡した。






……って、な、何してるの!


今日の緑間君のラッキーアイテム、その右手に乗ってるグラビア雑誌でしょ。
カバーをかけてるところが緑間君らしい。

……地味に青峰君に狙われてるけど。



なのに、なんでハサミを当然のように持ってるの!?
赤司君に貸すため……?

そして、赤司君に当然のようにハサミを向けられた黄瀬君は、



「うぅ〜……黒子っちぃぃぃいいぃぃ」
「やめてください、黄瀬君」



抱きつこうとした黒子君によけられた。
黄瀬君、壁に激突。

だ、大丈夫かな……?



「雪愛っち〜」


そして、黄瀬君は今度は私の方に飛んできた。




「え、わ……っ! き、黄瀬君!?」


は、恥ずかしい……。
というか、赤司君に見られてるし……。うぅ。







「な、なにをするのだよ!」

「何って、お前のグラビア見ようと……
 って、マイちゃんじゃねえのかよ……チッ」

「もぉ、大ちゃんの不潔っ」


何やら賑やかな3人に、



「……賑やかですね」
「モグモグ……」


完全に傍観を決め込んでいる黒子君と紫原君。


そして、

私に抱きついてる黄瀬君に、







ハサミをシャカシャカしながら、面白くなさそうな顔の赤司君。



そんな赤司君と目が合ったとたんに、顔が熱くなって目を逸らす私。


この感じが日常なんです。






こんな日常が、こんな関係が、ずっと続くと思っていたけど……。


実は、私の知らないうちに、少しずつ。
物語が動き始めようとしていたのだった──

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ