弟はおとなりさん

□弟はおとなりさん*1*
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私には家族がいる。


お父さんと

お母さんと


それから……





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弟はおとなりさん

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「ターケーっ!今週のジャンプ貸して〜!」


私の部屋の窓から見える
直ぐ隣の家の窓…。

鍵が開いてることなんてわかってるから、2階の屋根を伝って行って、その窓を勝手に開ける。



桃「おう、真子!おかえり〜」


「おう!ただいま!!」



見慣れたちらかった部屋…
武は2つ年下の、私の幼馴染。


小さい頃から、
私たちは当たり前のようにこうやって、お互いの部屋を行き来している。

昔はそれでよくお互いの両親に怒られたけど…

叱られても一向にやめようとしない私たちに、両親たちの方が折れたようで…
最近ではついに“気を付けなさい”と言うようになった。




テレビゲームに夢中になっている武を無視して、勝手にやつの鞄からジャンプを取り出す。


「そういえば、ランキング戦どうだった〜?タケ、勝ったの?」
桃「当たり前だろ?全戦全勝よ!」
「おめでと〜!地区大会も頑張りなよ〜!」

嬉しくなって、ツンツン頭をわしゃわしゃっとなでる。

桃「ばっ!ちょっ、やめろ!今ラスボスなんだよ!!!」

必死に私の手を払いのけようとする武が面白くて、今度は両手で乱暴に頭をなで回せば…
テレビからズトーンッという派手な音と悲しげな音楽が流れた。


桃「だーーっ!鬼かよ⁉︎おまえは!!!」

「あはは!ごめんごめん」


がくーっとうなだれる武。
武が絶対怒らないってわかってるから、ついついいつも意地悪しちゃう。


「代わりにお姉さんがやってあげるから!元気出して!ね?」
桃「むりむり、真子ゲーム弱ぇーじゃん」
「失礼ね!いつも私の方が勝ってたじゃない⁉︎」

桃「何年前の話だよ⁉︎
しかもそれ、ぷよぷよ限定だろ!!!」


ぶっと吹き出して笑いだす武。
つられて私も笑いだす。



高等部に進学して2週間…

学校では会えなくなったけど、私たちの関係は何も変わってない。














弟はおとなりさん*1*

〜 窓の向こうの家族 〜

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