青春学園中等部
□油断せずにいこう
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生徒会長として
部長として
責任の重さに
毎日悩みは尽きない。
その中でも…
最近の俺を最も悩ますものが…
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油断せずにいこう
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「本当にすみません!」
放課後の生徒会室。
部活を抜け出して来てみれば…
早々に深々と頭を下げる彼女。
『桜井、何があった?いきなり謝られてもこちらは理解出来ないのだが…』
「頼まれていた資料の整理をしていたんですけど…」
ゆっくり頭を上げた彼女の顔は、
やはり泣きそうな顔をしていた。
今年度から新しく生徒会役員に任命した彼女。
部活に専念したいからと、途中で辞めてしまった生徒の代わりに急遽募集したところ…
大石の強い推薦で彼女の名が挙がった。
大石の小学校のひとつ後輩で…
生徒会活動経験者だと聞いて、入ってもらったのだが…
『それで、間違えてシュレッダーにかけてしまったアンケートはどのくらいなんだ?』
「1年生の1組から3組です…」
『直ぐに新しいものを印刷してくれ。明日各クラスに配布して、再度アンケート記入をお願いするんだ』
引き出しから、アンケートの原版を取り出し彼女に渡す。
『あれは先日の球技大会の大事なアンケートだ。たとえ3クラス分でも無視するわけにはいかない。
それに、1年生にとっては入学して初めての学校行事でもあった。来年の為にも適当なことをするわけにはいかない』
「は、はい!!!」
印刷室へ向かうべく彼女が教室を出て行くと、小さくため息が聞こえた。
書記長の渡辺だ。
渡「ごめんなさい手塚くん。私が来たときにはもう手遅れで…」
『仕方ない。1年生のクラス担任には、明日桜井と一緒に俺も謝罪しに行こう』
資料棚のガラス扉が乱暴に閉められる。
会計の赤松だ。
赤「会長の手間増やしやがって…。やっぱりあいつは生徒会の仕事にはむいてないですよ!」
『俺はかまわない。これも俺の仕事の内だ。それより赤松、物に当たるな。グラウンド10周だ!』
赤「えーーっ⁉︎」
森「手塚くん、ここは生徒会室。今はテニス部部長じゃなくて、生徒会長よ?」
いつの間に来たのか…
扉のそばで、手を口に添えてくすくすと上品に笑う森下。彼女は副会長だ。
『森下、部活は終わったのか?』
森「ええ。今日は早く終わったら、少し顔出して帰ろうかなって思って来たんだけど…また真子ちゃんが何かしたみたいね」
『大したことじゃない』
赤「大したことですよ!集計前のアンケートをシュレッダーかけちゃったんですよ!」
森「あらあら…」
渡「まぁ、この前の失敗に比べたらまだマシな方だけどね…」
赤「やっぱりあいつには辞めてもらった方がいいですよ!」
“人の役に立つ仕事がしたい”
そう言って役員に入ってくれた彼女だが…
あまりにもミスが多い為、正直どうしたものかと悩んでいる。
最初は慣れない仕事だから仕方ないと、皆でサポートしていたのだが、一向に減らないミスに最近では我慢出来ない者も出て来てしまっているようだ。
渡「私もそう思う。悪い子じゃないんだけど、これじゃあ私達の仕事にも差し支えるわ」
『森下はどう思う?』
森「そうね…。一生懸命やってくれてるのは分かるんだけど、やっぱり向き不向きがある仕事ですものね…」
『そうか。だが、他の役員の意見を聞いてみなければ。それにもう少し様子をみたい。皆には迷惑をかけるが、宜しく頼む』
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