君はともだち
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たぶん君は笑うだろう
この気持ちを伝えてしまったら…
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君はともだち
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テレビゲームの音と、コントローラーのガチャガチャという操作音で目を覚ます…
いつの間に寝ちゃったんだろう…
ぼんやりした視界を擦れば、目の前には胡座の上でコントローラーを操る筋張った腕が見えた。
「ふ、ふぁ〜…」
「起きたか?」
「うーん…、ごめん。寝ちゃってたね」
「疲れてたんだろ?まだ寝てろよ」
テレビ画面から目を離すことなく話す亮。
まだ寝転がったままの私には、いつの間にかけてくれたのか…
いつも亮のベッドにある青い毛布が乗っかっている。
「ん…、さんきゅー、亮」
「おー…」
心地いい短い返事。
床から見上げる亮の顔は、出会った頃と比べてずっとずっと大人の男の人だ…。
再び目を閉じれば…
あのまだまだ幼かった私達の笑顔が自然と浮かんでくる。
大人にも子供にもなれない…
そんな中途半端な私達が。
「真子…」
「…んー?」
「今日泊まってくか?」
「亮、明日仕事じゃないの?」
「あー…、明日は昼からの勤務」
「ふーん。じゃぁ、泊まろかな」
「おー、久々飲もうぜ」
「いいね。ゲーム終わったら起こして。コンビニ行こう」
「へいへい」
毛布をぐっと引き上げて、顔の半分まで覆うようにかぶる。
こうして亮と一緒にお酒を飲むようになるなんて…
あの頃の私達には、想像もつかないくらい遠い未来の話だと思ってた。
だけど、私達は大人になって…
就職して、毎日働いて、お酒だって当たり前に飲む。
出来ることも増えた。
欲しい物も自分で買えるようになった。
叶うことはずっとずっと増えたはずなのに…
本当に欲しい物は目の前にあるのに…
未だに手を伸ばせないまま。
気持ちはずっと蓋をして、あの頃に置き去りにしたままだ…。
君はともだち*0
〜 プロローグ 〜