四季彩回路

□Story4-1
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真面目で優等生という完璧な生徒会長の正体が謎の女性ということがわかり、切花は先程よりもさらに混乱していた。
女性はというと、クスクスと一人切花の混乱の様を笑っていた。

「は…?つまり異能者ってことでいいのかしら…?」
「君たちみたいなのとは違うかな、きっと似てるかもしれないけども。」
「ごめん、理解が追いつかないわ…。」
「っはは、だろうね。一から説明するからさ。どうせ今日は帰りたくないんでしょ?」

女性の本当の名前は鷺ノ宮藍(さぎのみやらん)ということ、自分は一度死んでこの場に残っていることをさらりとした説明で切花に話した。
切花は苦い顔をしつつ把握をしてから一息ついて口を開いた。

「大体はわかったわ。取り敢えず、夜は長いし特別教室で話さない?」
「それもそうだね、僕は足は無いけどもななチャンの足を疲れさせちゃうからね。」

にへ、とした少年のように笑い「先に行ってるね」と言ってその場から消えてしまった。切花はまた目を丸くすると、まだ理解が追いついていないかもしれないと思いつつ特別教室に向かった。

特別教室に入ると手を振って藍が迎えた。切花が席に座ると、興味深そうにあちこちを見回してからにこりとして切花を見る。

「鷺ノ宮さん、は幽霊ってことはわかったのだけど、どうして成仏していないの?」
「藍でいいよ、はるかに年上だけどね。成仏ね…したくないわけでもないんだけど、したいとも思わないかな。」
「思う思わないの問題なのね…。」
「あはは、違うだろうけどね。」

藍は終始楽しそうに笑いながら話していて、切花も少し移ったように笑みを浮かべながら話をした。

「というか、どうして化けてなんていたの?」
「ここの学校に僕が通っていた、ってことと、どうしてだかこの学校にしか僕は居られないっぽくてね…。」
「成る程、それで毎年変わる生徒会長になっているってことね。でも、どうして毎回選挙に…。」
「あー!それはほら…」

藍によると、人に化けることと藍に対する人の認識を変えることができるらしく、選挙などはそうして友人になりきって票を集めていたそうだ。

呆れ顔をしながらも切花は話を聞いていて、しばらく話した頃、藍が先程までの笑みとは違った眉を少し下げた笑みをして切花に話を持ちかけた。

「あのね、僕の友達がそろそろこの学校に来るんだ。教師としてなんだけどね。」
「その人も幽霊…なの?」
「んーん、ちゃんと生きてるよ。しぐって言うんだけど、もしも出来たらで構わないからしぐに会ったらここまで来るように言って欲しいんだ。」
「そんなことでいいのなら、いくらでも。」

しかし藍はまだ何か言いたげな顔をしていた。切花は無理に聞くことはせず、黙って藍をみていた。
すると藍はふぅと一息ついて話し始めた。

「聞かれるのを待ってても聞かなそうだね。」
「私の得になるならね。」
「君らしいや。」

少し茶化すように言うと、今度は複雑そうな顔をして藍が話を戻した。

「その"しぐ"っていう奴をね、一人でここに連れてきて欲しいんだ。」
「そんなの簡単じゃ…。」
「今度来る教師は"しぐ"の他にもう一人いるんだけど、その、結構ついて来るから…。」
「その教師はストーカーなのかしら。」

呆れたように切花が言うと、むすっとしながら藍は「ほんとにね。」と言った。
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