四季彩回路

□story3
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密やかに、手のひらには小さな光を。
ここは私の研究室。


薄暗い木造建築の簡略的な小屋の中で、私はひたすらに魔力を手の中で練り続ける。
まだ足りない、放っておけば固まり劣化する魔力を練って、握り潰せば粉々に。彼女の魔力は触れるだけでも火傷を負いそうな程に強い。


「器量が足りない、それとも、努力か?」


わかっているのだ、私に足りないのは


才能だ。


焼けつくような熱い彼女の魔力に触れるには、何重にも重ねた魔力の層で素早く作らなければならない。それも侵食を始める彼女の魔力に追いつかないようにするためには、出来るところまで簡略化したものしか作れない。

私に足りないのは才能だ。もう出会ってから12年経つ今でも。

劣化しているのは、俺だ。
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