初恋のお部屋

□雨
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俺は雨が嫌いだ。ジメジメするし、気持ちが沈む気がする。
今日は朝から雨だった。
退社しようと思った時もまだ雨は降っていた。
傘立てに置いておいた傘をとって出ようとしたら、俺の傘がない。
誰かに間違えられたみたいだ。最悪だ。
俺は誰でも持っている透明のビニール傘を持ってきたことを後悔した。
コンビニまで走るか、それとも濡れたまま帰るか。
そんなことを考えながら外へでる。

「高野さん!」

そこには先に帰ったはずの小野寺が立っていた。

「なにやってるんだ?帰ったんじゃなかったのか?」

「帰ろうと思って傘立てみたら気づいたんです。
高野さんまだ上にいたのに、高野さんの傘がないからおかしいって。こんなに雨降ってるのに傘がなかったら大変だから…」

だから待ってたんです……



ただの透明のビニール傘。どれも同じに見えるのに、俺のものをわかってるなんて…

「ありがと。帰ろうか。」

俺は小野寺と一緒の傘に入る。手を差し出すと素直に手を絡めてくる。
長い間待っていたせいか、冷たくなった手。

(ほんとにありがとな。俺はやっぱりお前がいないと生きていけないな。愛してるぜ。)



こんなことがあるなら雨も悪くないな。と1人思うのだった。

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