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□2本の傘の行方
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2本の傘の行方
誠凛→黒
ザアァァァァ
外は突然降り出した土砂降りの雨。
只今夜の8時30分、誠凛高校の最終下校時間だ。
厳しい部活を終えて残って練習してるのは5人
「おいおい、いきなり雨降ってきたぞ…。」
げんなりした様子で言う日向。
「でも帰らないわけにはいかないしな…最終下校時刻だし…はっ!下校時刻に帰るカエルはゲコッ!キタコレ!」
一見真面目に考えているのかと思えば安定のダジャレをぶっこんでくる伊月。
いつもツッコミを入れる日向もツッコム気力もない。
「そういや、確か部室に置き傘あったよなー」
たまにはいいことを言う木吉。
「僕、とってきます。」
「俺もいく!」
仲良し影と光コンビの黒子と火神。
「あぁー頼んだ!」
「あの…傘…」
しばらくして戻ってきた黒子と火神はなんとも暗い表情だった。
「どうしたんだー?」
「2本しかなくて…」
申し訳なさそうに言う黒子。
「マジかよ…!」
先ほどまでげんなりモードだった日向が少し復活して見える。なぜ。
「僕たちは1年なので傘なしで濡れて帰ればいいんですけど、先輩たちは…」
「3人だから1人入れないっつーか…」
影と光コンビもしょんぼりモードだ。
「なに言ってんだ、ダァホ!」
そんな2人にカツを入れたのは日向だった。
「1年だから濡れて帰るとか先輩は傘使うとかそんなのウチ(誠凛)じゃ関係ないんだよ!」
「日向クラッチタイムはいってるよー!でも俺たちも日向と同じ気持ちだから!!」
と伊月が言う。
「みなさん…」
いい先輩を持ったな、と黒子は3人の先輩を順番に見た。
「まぁ、そうは言ったものの、全員傘が使えるわけじゃない。ってことで俺に考えがある!」
さっきはいいことを言った日向が言う。
「いい考えってなんだ、ですか、キャプテン」
「それはな…まず木吉と火神は傘無しで濡れて帰れ!」
「なんでだー日向?」
「そうっすよ!なんで俺たちだけ!」
日向の意見にもちろん反対するのは当の2人。
「考えてみろ。お前らみたいなガタイのいい奴が一緒に傘入ったらもう1人が濡れるだろ。それにお前らなら風邪ひかないだろうしな。」
「そんな、あんまりっすよキャプテン…」
「なんだ、火神、キャプテン命令聞けないっていうのか、あぁ?」
クラッチ全開の日向さん。
「すんません、なんもないです…」
そんな日向さんには逆らえない火神くん。
「で、日向俺たちはどうするんだ?」
話の流れを聞いていた伊月が口をひらく。
「そんなの決まってるだろ、俺と黒子が一緒の傘に入る。それで決まりだ!」
「「「それはだめだ!!」」」
抜け駆けは許さない!3人の心が一つにそろった。
「あの…すみません、まだもめているみたいなので僕先に帰りますね。」
そう言ってそそくさと体育館を出て行く黒子。
残された4人は盛大なため息を吐いたのだった。
おわり