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□お風呂
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いつもお風呂を嫌がる可愛い恋人のために火神が最近用意したものはたくさんある。
例えば、、、
湯船に浮かべるアヒルだったり、壁に落書きできるクレヨンだったり、泡風呂にできる入浴剤だったり、さらにはバニラの匂いの入浴剤まで用意したのだ。
おそらくこれらのおかげで黒子もお風呂に入ることをあまり嫌がらなくなった。
「黒子ー!風呂入るぞ。」
火神が呼べば後ろからトテトテとついてくる。そして
「今日はなんですか?」
そして小首をかしげながら入浴剤の種類を聞いてくる。
(やべぇちょー可愛い。)
今日はオレンジのいい香りがする入浴剤だった。
湯船に浸かりながら幸せそうに頬を緩ませる黒子。火神は前から聞きたかったことを聞いてみることにした。
「そういえば、黒子。お前なんで風呂嫌いなんだ?」
黒子は一瞬言いづらそうにしたが、すぐにもとの表情にもどり話し始めた。
「笑わないでくださいね。昔…小学生くらいのときに1人でお風呂に入ってて、湯船で溺れたんです。それから水とか苦手になって…だからです。」
「そうだったのか。だから嫌がってたんだな。」
「それもありますけど、僕が嫌がったのは別の理由ですよ。」
「え?」
「僕が嫌だったのは1人で入るお風呂です。……火神くんと一緒に入りたかったから…」
黒子の顔が赤いのはのぼせたからだけではないだろう。
「……お前…かわいすぎんだろ。」
火神も顔が真っ赤である。
「むっ!男が可愛いと言われても嬉しくありません。」
「あー。はいはい」
「返事は一回ですよ。」
照れ隠しに冷たい態度をとる黒子に火神は黒子の耳元で囁いた。
「これからも一緒に入ろうな。」
黒子がお風呂を嫌がる日はなくなっただろう。