ただ憧れるだけ


□第1章
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「野球部!高校生といったら野球部!」

「文芸部いいよー!」


ざわざわと
色んな人の声が聞こえる
ここは清凛高校玄関前

新設校の清凛高校は
部活の部員数も少ないのだろう
みんな必死に勧誘している


「君!文芸部興味ないかい!?」

そんな中一際声を掛けられる
新1年生がいた。




「あ…いぇ……すみません…」

彼女の名は諸藤夏帆
沢山の声がかかるのも
無理はないだろう

夏帆は
歩くだけで人目の引く
存在感が強い
美しい風貌の女の子なのだから


((何故こんなにも声を掛けられるの?……どうしよう。帰宅部が良いんだけど……))


しかし当の本人は
無自覚であったりする



夏帆は
辺りをキョロキョロと
見回した



「バスケ部!バスケットだけに助っ人募集中!キタコレ!」


「伊月黙れ!」


すると夏帆的には
一番目立つ一つの部を見つけた



((バスケ部かぁ……、無いって聞いてたんだけどな……新しく出来たのかな?ともあれ、なるべく関わりたくないけれど………あれ…?あの人って…))


バスケ部だと知ると否や
彼女は一歩ずつ後退していたが

バスケ部勧誘の集団に
一人顔見知りの男がいることを知る


((何で居るの?!……またダジャレいってるし…何か話しかけづらいなぁ…))


話しかけようかかけまいか
悶々としていると
ジーと見ていたのに
気が付いたのか
明るそうな一人の男が
声をかけてきた


「何々?!バスケ部興味ある?もしかしてマネジ希望とか?!」


「えっ…あっ、いぇ私は……」


「君も部員になってブインブ…………夏帆ちゃん?!」


「あはは…お久しぶりです。俊先輩」


顔見知りの男…
伊月俊がダジャレを
最後まで言わずに
驚いた顔で固まった
 

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