長編・私は貴方の妹です!

□暖かさ
2ページ/4ページ


転入初日だというのに、彼らは全く私を気遣ってはくれなかった。アヤトに次ぎ、実の兄二人に同時に、しかも他の兄の前で血を吸われたという事実に私は打ちのめされていた。そんな私の手を、ユイは黙って、ずっと握り続けてくれていたのだった。

「逆巻メイです、宜しくお願いします」

奇しくも、スバルと同じクラスになった。制服を正し、クラスの前で初めて挨拶をすると、クラスに大きなざわめきが走る。

「・・・?」

「おい、すっげえ美人じゃん、何あの子、どこのモデル?」
「しかも逆巻だってー!!親戚かなぁ、それとももう一人の兄弟だったりして・・・!」
「だとしたら納得できるよね、あの兄弟すっごい美形ぞろいだもん!!」
「絶対仲良くなって紹介してもらおう!!」

私はどうしていいかもわからず、ただ黙って立ち尽くす。私の中のヴァンパイアにとっては餌で、人間にとっては同胞。どう接すればいいのかわからない。

「では、そこの席に座ってください」

偶然か意図的なものか、席はスバルのすぐ隣だった。スバルは無口だし、まだ酷いこともされていないから、少しだけ期待していた。普通に妹として扱ってくれるのではないかと。

「よ、宜しくお願いします、お兄さま」

勇気を出して小声で言っても、スバルは興味なさげにふんと視線を逸らすだけだった。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ