長編・私は貴方の妹です!
□みんなと初対面!
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「はぁ?知らねーよ。つーか逆巻とか、ふざけてんのかてめえ」
彼らにとって衝撃の一言を発したつもりだったのだが、衝撃を受けたのは皮肉にもこちらの方だった。
「・・・え?」
(聞いてない?いや、そんなはずは・・・)
だってお父様は絶対に彼らに伝えた筈だ。私が近々逆巻の屋敷を訪れることを。
「・・・何の騒ぎですか、アヤト」
「あぁ、カナトか」
騒ぎを聞きつけたのか、不機嫌な様子で屋敷の中から出てくる少年。腕には眼帯をしたテディベア。逆巻アヤトの弟、カナトだ。
カナトは鬱陶しそうに私をじっと見つめる。
「誰ですかこの女。アヤトの餌?」
「はぁ?ちげえよ。こんな無表情女、このオレ様が相手にするわけねーっつの。・・・それよりこいつの匂い、わかるだろ」
「人間、じゃあありませんね、僕らに近い匂いがする。でも完全に同じじゃない。・・・なんだかいらいらする匂いです」
「やっぱカナトもそう思うか。おい、無表情女。下らねぇこと抜かしてねえでさっさと正体喋りやがれ!さもねえと痛い目に遭うぜ」
殺気立った声で脅してくるアヤト。その冗談でない並々ならぬものを感じて、私は必死に弁明した。
「だから、さっきから言ってます。私は逆巻メイ。お父様から話が行っているはずなんです。本当にご存知ないんですか」
顔を見合わせるアヤトとカナト。が、二人とも本当に心当たりがないようだった。
(このままだと・・・殺されるかも)
ヴァンパイアの二人にとって命の重みなどあってないようなもの。ましてヴァンパイアの王たるカールハインツの息子二人となれば、私に勝ち目は万に一つもない。