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□突然の雨
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忠義が早々と家を後にし、私もそれに続けて仕事に行く準備をして家を出る。
本当は仕事なんてばっくれて悲しみに耽りたいところだけど(笑)
忠義が去り際に、名前、好きやで?と頭を撫でてくれたから信じよう、そう決めたけど、やっぱり不安になるものはなるし。
仕事に集中していた方がマシだ、と自分に言い聞かせて会社に向かう。
会社に着いた頃に携帯が鳴った。
「あ、マナーモードにし忘れてた!」
充電が切れていた携帯は、家を出るまでの限られた時間で少しだけ充電して持ってきた。
早く着きすぎてしまい会社内に社員は疎らで、まだ来ていない人が多いのが救いだった。
大音量で携帯が鳴ったものだから焦りつつ、携帯の画面を見ると”横山 裕”と表示されていた。
「も、もしもし」
『あ、名前ちゃん?』
「はい?てか今日はちゃん付けですか?(笑)」
笑って返事をするとうるさいわ〜なんでもええやん!と横山くんの明るい声がした。
『今日天気ええな』
「そうですね(笑)」
『…』
「なんで黙るんですか(笑)」
『あ〜、大倉となんかあったんか知らんけど』
「え?(笑)」
『名前らしく頑張ったれ!』
「え?(笑)」
『まあそんなんはどうでもええわ(笑)今日飯行かん…?』
突然の頑張れ、からご飯のお誘い(笑)
横山くんって不器用だけどとても優しい人だよなあ(笑)
ていうかファンの頃、横山くんは連絡とか自分からあまりしないのかと思っていたけど、実際、連絡全然来るじゃん(笑)
しかもご飯のお誘いって(笑)滅多になさそう(笑)
「是非是非!てかさっきの頑張ったれって何ですか(笑)」
『忘れて!(笑)』
「忘れません(笑)」
『まあ、ええわ(笑)んで今日な、ヤスと俺と3人で飯どう?』
章ちゃん…
忠義は嫌って言ってたけど、横山くんもいるし!
「おっけーですよ!」
『んじゃとりあえず夕方もっかい電話するから!』
「は〜い!」
そう電話を切ろうとしたが、横山くんの優しさが身にしみて。
「あ!ありがとうございます!それと撮影頑張ってください!」
と、急に声を張って言う。
『おお(笑)びっくりしたわ(笑)ありがとうな!』
「突然すいません(笑)忠義にも頑張ってって伝えてください(笑)」
『おう(笑)じゃ!』
「はい!」
そう言って電話を切る。
横山くんのおかげで少しだけ元気が出た
感謝だなあ、と思いながらデスクに向かった。