【EXO BOOK】
□戻れない出会い
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【 レイ side 】
毎週休みの日には大学の図書館に行くことに決めていた。
地方から都会の大学にやってきて一人暮らしをしている僕には、友達もまだあまりいなくて休みの日の予定はなかった。
僕は図書館の窓辺の席に座って、来週に予定されている小テストの勉強のために英語の教科書を広げる。
ふと窓の外を眺めると、気持ちのいい青空が広がっていた。
図書館の向かいには体育館があって、そこでは学生たちがバスケットボールをしている姿が開いている扉から見えていた。
「元気にしてるかなぁ…」
ふと地方に残してきたあの人のことが思い出される。
もうあの人にも1か月も会っていない。
正直寂しくないといえば嘘になる。
あの人は仕事をしていて忙しいし、地方からここまでは遠いし、人見知りな僕にはなかなか友達もできない。
さみしい…。
知らない土地で一人ぼっちの自分がとても孤独であるように感じた。
カタン…
そんなことを考えていると、目の前の席に誰かが座る音がした。
何気なくその人の顔を見る。
ふんわりカールした金髪に小さな顔、つぶらな瞳、長い睫、白い肌。
白いシャツにネイビーのパーカー。
教科書を取り出すと、うつむき加減に真剣に読んでいる。
あ…。
あの英語の教科書、僕と一緒のだ。
僕は一目でその子のことを気に入った。