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□運命の人
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『運命の人は…君だったんだね…』
少し鼻にかかった甘い声。
優しい言い草。
普段聞き慣れてる声とは全く違う感じがする。
それに浸りたくて、
DVDを何回も巻き戻して、
そこばっかり聞いてしまう。
「何やってんですかアンタは」
振り返ると、バスルームから出て来た豊がいた。
「だってー、理想だもん。ゲイワールドの王子様」
「これが理想って、少女漫画の見過ぎかよ…
いや、世の中の女がコレを求めてるってことは、
狙って脚本書いてる翔はやはり天才か…」
ブツブツそう言いながら
私が座ってる横にどかっと座る。
開いている缶ビールを一口のみ、
私の顔をのぞきこむ豊。
名無しさん…言ってあげようか?
とニヤリと笑う。