俺だけが

□第三章
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「うおお!!今の感じ良かったんじゃね!?良かったんじゃね!?」
爆音が鳴り止むと隆が騒ぎ出す
俺たちは週一回のバンド練習中だった



「先週よりかは良かったと思うよ」


「だろだろ」


「ドラムはいつも通り走ってたけどな」


「潤キビシ〜」
俺たち3人は軽音部に入ってる
それで今日が俺らのバンドに割り当てられた練習日
因みに俺がベースで隆がドラム、奏斗はギターとボーカル



「なあなあ新曲どうする?」
練習が終わり片付けをしながら隆が話を降ってくる



「そう言えば次のライブまであと2ヶ月か
そろそろ決めないとダメだね」


「そうだななんかやりたい曲な…」


「色々あるんだよなー
あっ!!俺あれやりたい!!バンプの車輪の唄!!」


「ギターもう一本いるだろ」


「じゃあRAD!!」


「それも4人バンドだね」


「ワンオク!!」


「まあギリできるか
ただ奏斗が歌いながら弾けるかが問題だな」


「あんまり俺に期待されても困るからね」


「う〜相変わらず曲決めは3Pバンドの鬼門だよな」


「だから最初からもう一人入れろって言ったんだよ」


「だってなんか行ける気がしたんだも〜ん」
俺たちは入部した時から3人でバンドを組んでる
クラスに俺たち以外軽音部の奴が居なかったから3人で組むことにした
他のクラスには軽音部の奴は居たけど1人だけ別のクラスってのもなんか嫌だったから



「今から誰か頼んで入れるか?」


「俺もその方が有難いんだけどね
歌うのそんなに得意じゃないし」
奏斗はボーカルもやってるギタボってやつ
でもこれはほぼ無理矢理みたいなもん
情けない話だけど俺は自他共認める音痴なので歌えない
隆もドラムだからさすがにキツい
だからギターである奏斗が歌うしかない
でも本人は得意じゃないって言ってるけど普通に上手いんだぜコイツ
…羨ましい


てか普段から本ばっかり読んで騒ぐ事をしない奏斗が
軽音部入れてギターやってるのも隆がしつこく誘って奏斗が折れたから
今は嫌々って訳じゃなさそうだけど奏斗は俺たち以外とはバンドを組んでない
まあ俺らだからやってくれてるんだろうな



「え〜でもさ今から部員の中から探すのって今更感ない?」


「それはまあそうだけど」
隆の言うことも分かる
これで1年間やって来たからなんかテンションが違う気が済んだよな



「あー2年で新しい部員入ってくれないかなー」


「居ないだろうね
それより早く片付けて出て行くよ
もう次のバンド来てるみたいだし」


「おっと行けねえ!!
早く片付けて潤の家に行かなくては!!
今日は寝ずにゲームするぞ!!」
そう今日は俺の家で隆が新しく買ったと言うゲームをするので
俺の家に2人が泊まりに来るのだ


ついこないだまでは結音の事がバレないようにと家にも連れて行かなかったが
この2人にはもうバレてしまったから気にすることはなくなり
あれ以来普通に遊びに来れるようになったのだ



「俺は明日の夜にバイト入ってんだから寝るからな」


「俺も寝たいから徹夜は隆だけだね」


「えーそんなー!!」





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





ガチャッ


「おっ邪魔しまーす」
家に着くと玄関のドアを開けるなり隆は馬鹿でかい声で挨拶をした



「うるせえよ!!」


「いや陽菜や結音に聞こえるようにと思って」


「ん?あー奏斗お兄ちゃんだ!!」


「お邪魔します陽菜ちゃん」


「いらっしゃい!!
お兄ちゃんもお帰りー」


「おん」


「俺も居るんだけどな陽菜!!」


「ああ隆も遊びに来たの?」


「お前知っててだろ…」


「うん!!」


「うんって!!」
いつものことながら小学生の陽菜に隆が遊ばれてると
リビングから結音が出てきた




「やっほー結音!!」


「お邪魔します」


「いらっしゃい」


「結音何処か行くの?」
結音は笑いかけるように2人を迎える
そんな結音がカバンを持ち出かけるような姿だったから奏斗が聞いた



「うん陽菜と一緒に晩ご飯の買い物に」


「あっ俺今日晩飯要らねえから…」
その言葉に俺は思い出したように言った
でも俺の視線は自然と外れてしまう


あれ以来結音の事を名前を呼ぶ事に決めたけどまだ慣れない
それに俺達の関係も前とあまり変わらない
寧ろ名前を呼ぶ事に決めてから少しだけ距離が近くなった分
それに慣れなくて逆にギクシャクしている
まあ良い意味でだと思うけど



「えー要らないのー?
今日は陽菜が作るんだよ!!」
俺の言葉に反応したのは陽菜だった
陽菜はぶーっと頬を膨らませながらそう言った



「うげっ陽菜が作るのかよ!!
それ食えんのか?」


「美味しいもん!!」


「言っても陽菜お前がやってんのは野菜切るだけだろうが」


「お姉ちゃんと分けっ子してるだけだもん!!」


「へえー結音も作るのか
それは食べてみたいな!!」


「あのねお姉ちゃんのご飯すっごく美味しいんだよ!!」


「マジか!!なあ俺らの分も作ってくれねえ?
俺結音の手料理食べてみたいな!!」


「はあ!?何言ってんだよ
外で飯食うんだろ」


「えーいいじゃん女子の手料理なんて早々食べられないじゃん
それにごちそうなったほうが金も浮くし!!」


「お前な…」


「隆の理由同じにされたくないけど
俺も結音の作ったご飯食べてみたいな」


「はあ!?奏斗まで何言ってんだよ!!」
いつも通りの隆のバカな発言に呆れていると
まさかの奏斗も乗ってきて俺は驚いた



「2対1って事で俺と奏斗の勝ち!!
なあなあ結音ダメか?」


「えっと…私の作ったなんかでいいなら…」
隆の頼みに困った様に笑いながらも結音はそれを受け入れた



「ふぉう!!やったー!!」


「ごめん無理言って」


「ううん大丈夫だよ」


「楽しみにしてるよ結音の作るご飯」


「そんな楽しみにするものじゃないよ…」
なんか隆と奏斗って結音と打ち解けるの早すぎないか?
俺以上に打ち解けてるし
なんか変な気分だ
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