□変わらないもの
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「おーおー、賑やかだな。」
久しぶりの新と2ショットの撮影はやっぱりやり易くて予定時間より早く終えることができた。2人でその後のオフを楽しもうと寮に戻ってきた。寮に帰るとメインフロアの玄関の前には大きなトラックと荷物を運ぶ高校生くらいの男の子達。昨日春さんに聞いた新人の子達、だと思う。
「なんだか懐かしいね。」
「あぁ、あれから10年…か?」
「早いなあ。俺らも高校生だったはずなのにもうおじさんだよ。」
「ふざけるな。葵がおじさんだなんて世のおじさんに失礼だろ。」
「あはは…なんだろ、ごめん?」
相変わらずよくわからないツッコミ方をされてとりあえず謝る。そんな新の手にはいちご牛乳のパックが握られていて昔のまま変わらないなあなんて笑う。そんな俺の手にも買い込んだいちご牛乳の入った袋が握られていたけれど。

「葵、甘やかして。」
こういうところは今も昔も変わらないけど、少しだけ前より直球になっているような気はする。
「はいはい、こっちにおいで。」
新は俺をツキノワくんごと背後から抱きしめた。首に息がかかってくすぐったい。ツキノワくんをそっとソファに座らせて体勢を変えて新の方を向くと満足そうに笑った。
「久々のオフだしね。」
新の唇に自分の唇を重ねる。そっと触れるようなキスがだんだん水音を増す。ちゅ、というリップ音がして唇が離されると同時に目の前に天井が広がって思わずふふ、と笑みがこぼれる。
「まだ若いよ、俺らも。」
「だな。」
首元に落とされたキスに熱い息を吐いた。


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