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□あまいあまい
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ガチャンと鍵の開いた音がしてただいまーという声がする。声の主はふらふらと私のいるベッドまで辿りつくとそのまま倒れ込んできた。巻き込まれた私も下敷きになって倒れる。
「・・・もう、椿姫。」
「あはは、ごめんってばー☆深刻な梓沙不足でさぁ。」
何それ、と言って笑うと椿姫も笑って腕を背中に回してきた。椿姫の髪からふわりとあまい匂いがする。しばらくして体が離れると椿姫が指で唇に触れてきた。その動作ひとつひとつがなんだか色っぽくてドキドキする。
「ねぇ、梓沙。キスさせて。」
いつもあまりしないような大人びた表情で綺麗に微笑むものだからドキドキは増していくばかりで、黙って頷いた私の唇に触れたのはふわふわ柔らかいそれ。いつもじゃれてやるような触れるだけのキスじゃなくってとろけるような甘いキス。椿姫のキスは今まで付き合ってきたどの男の人のキスよりも気持ちがいい。あぁ、もう、こんなキスを知ってしまったら椿姫意外とのキスは物足りなくてできなくなってしまう。いつもそうキスでふわふわした頭で考えながら椿姫の気がすむまでキスをするんだ。