magic of book*

□長髪少女のシャンプー事情
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………………

「ねぇ、動けないんだけど」
「もーちょいだから待ってろ」

かれこれ10分、藍川沙久良と楠木拓人は昼休みというのに座席に座りっぱなしである。

「貴重な昼休みよ。お腹が空いたわ」
「少し我慢しろよ…もーちょい…できた!」

満足げな拓人の手の中には少し歪な三つ編みがあった。
「どーよ!だいぶ出来る様になっただろ!」
「あんたこれしかできないの?今時おさげなんていないわよ全く」
自分の三つ編みを弄びながら沙久良は呆れたように言った。

「うるせー。お前貶す事しかできないのかよ。少しは俺の成長に感動しろよ!」
「人の休み時間奪っといて何ほざいてんのよ。あーはいはい拓人ちゃんお上手でちゅねー」
そう言いながら沙久良は颯爽と弁当を持って友人のところまで行ってしまった。

これが2年A組名物
『楠木・藍川夫婦の戯れ』である。
本人達は知らない。
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