KAITOとの日常。

□青い彼
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「マスター!忘れものですっ!!!」
私のスマホを握って、そう叫んで走ってくる青い彼。
彼は、VOCALOID、KAITO。
半年前、彼は我が家にやってきた。
もちろん、普通のpcソフトとして。

私は元々KAITOの歌声が好きで、自分で曲を作ってみたくて、生活費のほかに貯めたバイト代で購入したのだ。
ちなみに。V3ではなくV1。
V3の歌声ももちろん魅力的なのだが、うちのパソコン君は古く、インストールすることができない。

わくわくしながらインストールしたら、パソコンがフリーズした。
わたわたしていたら、途端に部屋の中が青い光に包まれた。

次の瞬間、パソコンから手が出ていた。突然のことで、頭が真っ白になった。
貞子のようなおどろおどろしい動きではない。
何かを掴もうとするような、平凡な動き。
初めは恐怖を感じたが、よく見てみるとなんだかコミカルな動きに見えてきた。

「だ、出してくださ〜い…」
という、聞き慣れた、少年と言うには低く、大人の男と言うには渋みの足りない声。
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