dream
□第七章
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セントラルパークを3人で歩いていると、ピピピ!とマホーンのケータイが鳴る。
「おい、そこで待ってろ」
マホーンはベンチを指さし、遠くへ行ってしまうと元親は詰まらなそうな顔をしてベンチに腰かけた。
「ったく、ここに来て安全かと思いきやずっと軟禁状態じゃな」
そう話すが、元就は公園の遠くを見つめていた。
「なぁ毛利!」
「…」
急に尋ねられ元就はハッと我に返り元親の顔を見た。
「聞いてなかったのかよ」
「面目ない…」
いつもと違う元就の様子に元親は首を傾けたが、何とも思わなかった。
そして元就はもう一度公園の遠くを見つめるが眉を顰めた。
(やはり、あれは…)
遠くの方で見える黒い影を見て元就は目を見開かせ、そしてその正体が何なのか分かった瞬間マホーンが戻って来た。
「エレナから電話だった。学校に“奴等”がいたそうだ」
「奴等って…!」
尋ねる元親にマホーンは頷く。
「ああ。取り敢えずホテルへ急ぐぞ」
マホーンは2人に急ぐように促した。
「…」
元就は黒い影を見つめて名残惜しいような顔をして公園を後にした。
ホテルへ戻ると、3人は落ち着きを取り戻しているとエレナが帰って来た。
「ただいま戻りました」
「エレナ一体どういう事だ」
帰って来た彼女にマホーンは急かすように尋ねる。
「ええ、彼らに違いはありませんでした。が、見失ってしまいました」
エレナが話すとマホーンは舌打ちをして電話を掛けにどこけへ行ってしまった。
「なぁ、なんであんたの学校に?」
元親は疑問を抱く。しかしその疑問はエレナも抱いていた。
「彼らの狙いは全く理解できません。しかし、あなた方が無事で何よりです」
と笑みを浮かべると元親も笑った。
「だな」
「それよりも来週、学校で学園祭があるんですが来ませんか?」
思いもしないエレナの言葉に元親は天の声かと思った。
「それ行くに決まって…」
そう言い掛けた瞬間
「駄目だ」
とマホーンの声が被さった。
「…んでだよ!」
「駄目なものは駄目だ!」
元親とマホーンの喧嘩が始まりそうだった。そんな2人の間にエレナが入る。
「毎日、ここに閉じ込められていては彼らも辛いですよ」
「そうだ」と元親は頷いたが、みるみるマホーンの顔が機嫌の悪さを知らせていく。そんな彼の表情を見て2人は目を合わせ冷や汗をかいた。
「ったく…、お前の学校に奴等が現れたんなら静かに身を潜めるのが賢い選択だろ」
「…」
拗ねた子どものようにエレナは頬を膨らませた。
そんな3人の様子をただ元就は見つめていた。