dream
□第十五章
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マンハッタンの街中はキラキラとイルミネーションが眩く輝き、恋人たちはその輝きに恋をしていた。
そんな中、死んだ魚のような目で辺りを見渡すエレナの姿があった。
「ただいま戻りました」
疲れた様子でマホーンの別荘に着くと嬉しそうに鶴姫は迎い出た。
「お帰りなさい!お買物有難うございました」
丁寧に頭を下げる鶴姫にエレナは微笑んだ。
「そういや街はクリスマス一色だったか?」
ニューヨークの郊外、ロングアイランドのウェストエッグにある別荘だからかマホーンは街の様子を伺うマホーンにエレナは頷いた。
そして大きな手提げをボンとマホーンの前に置きながらエレナはため息を漏らす。
「クリスマスはいつから恋人の日になったんですかね」
ハァ、とため息を漏らしエレナはソファに座っている元就の隣りに腰を下ろした。
「んな事、グダグダ言わずにお前も恋人作ればわかる」
とマホーンは答える。
「そんな人居ませんもん」
頬を膨らませエレナは隣りに座る元就に目を向けた。
「何を読んでいるんですか?」
覗き込むと“ロミオとジュリエット”と書かれているのにエレナは驚いた。
「貴様が以前この書物について話していただろう。しかし…理解できぬな」
呆れたように本を遠ざける元就にエレナは肩を竦ませる。
「どうしてですか?」
「何故こ奴らは死を選ぶ」
「どんな未来よりも愛の方が勝ったんだと…」
曖昧に答えるエレナに元就は鼻で笑う。
「哀れな者共だな」
元就が何と言おうとエレナは自分の言った本を覚えて読んでくれた事が何より嬉しかった。
「いつか分かるときが来ますって」
そう答えると後ろから「どの口が言ってんだ」とマホーンの声が聞こえた。