dream

□第四章
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翌朝になるとマホーンは車を走らせた。

「んで、今度の行先は?」

聞き飽きたであろう質問を元親は挨拶がてらに尋ねてみる。

そしてマホーンも挨拶がてらに応えるのだ。

「バージニア州だ。まぁ言ってもわからねぇだろうけど」

そして暫く車を走らせると、自然の豊かな街へと変わっていく。

木々を抜けていくと大きなショッピングモールが見えて来た。

マホーンは駐車場へ車を止めるなり、二手に別れようと提案した。




「何故我が…」

元就はため息を吐いて服を選ぶエレナの隣りに立っていた。

「何故って、今回貴方も行くんですよ?衣装はどういうのが好みですかね」

「待て。我は行かぬぞ。そのような如何わしい場などは…」

そう言ってエレナの手に取るスーツを顔を歪ませながら眺めた。

「そのような如何わしい場はとても華やかな場ですよ?一度は行けばいい経験になるのでは?」

「フン、そのような経験は不要ぞ」

「折角未来へ来たのでしたら楽しめばいいものを」

と言ってエレナは元就に様々なスーツを当てて選んでいた。

「貴様はそうして人を容易く操っておるのだな」

元就は頭を抱えてため息を吐くとエレナは笑った。

「これなんかどうです?」

そう言いエレナは黒いスーツを元就に見せると元就はプイっと顔を背けた。

「名付けてロミオとジュリエットの舞踏会」

笑ってエレナはゴールドのドレスを片手に取って、黒のスーツと並ばせた。が、元就は見向きもしなかった。

「もういいです。私は独りで黒鳥でもしますから」

無反応な元就にエレナは作り上げていた笑顔を戻しドレスを閉まった。







「あいつら遅っせーな」

エレナたちの帰りをモールのファーストフードのテラス席で待っている元親は文句を垂らしていた。

そんな彼にお構いなくマホーンはあのオレンジ色のピルケースから薬を出し飲んでいた。

「なぁ、その薬はどんな作用があるんだ?」

「…うるせぇ声が聞こえてきても、殺意が湧きあがるのを抑えてくれる薬だ」

とマホーンは答えると元親は黙った。

すると大きな紙袋を両手に持ったエレナと元就がこちらに向かってくるのが見えるとマホーンは急いでピルケースを閉まった。

「お待たせしました」

とエレナは紙袋を地面に置きテラスに座ると元就も続いて座った。

「今日の20時開場だそうです」

エレナは昨夜のパンフレットを開いて3人に話した。

「我は行かぬぞ」

未だに乗り気でない元就にエレナは目だけ向けた。

「貴方が嫌でもこれは運命ですから」

と意地悪な笑みを浮かべた。

そんな彼女の笑みを見ると元就の機嫌は段々と悪くなっていくと元親は笑って見ていた。

「あんたら見てっと笑えてくるぜ」

「…しかし先刻までは逃げ回っていた貴様等は心情が変わったのか?」

急に敵を追い詰めるマホーンたちの行動が読めず元就は尋ねる。

「あいつらの狙いはお前だ」

とマホーンは答えた。

その答えに驚く元就にエレナは付け足した。

「昨夜貴方を襲った男がそう言っていたんです。私達はあなた方を護る人間ですので、奴等が何かを仕出かす前に止めるのもまた仕事です」

「分からぬな。何故奴等は我を狙う」

「それは私達にも分かりません。ですから今日の舞踏会で何か掴めるかもしれません」

とエレナは答えた。

「だが、危険じゃねぇか?」

心配そうな顔をする元親にエレナは先程買って来た紙袋を漁る。

「あなた方は運がいい。今夜は仮面舞踏会です」

そう言い仮面をテーブルに出した。
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