dream
□第三章
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気が付くとエレナは眠っていた。
夢の中では笑顔が耐え切れず、大勢の人々に囲まれている。
ふと視線を感じエレナは振り返ると、そこには海兵が着るようなセーラーを着て金髪のウェーブ掛かった天使のような容姿端麗な少年がこちらを見て微笑んでいた。
その少年にエレナは微笑み返すと少年はゆっくりこちらに歩いてくる。
そしてエレナに手を差し出し、エレナは受け取る。すると少年は崩れ落ちるように倒れエレナは体を受け止めると少年は血の塊りを吐きながら涙を流していた。
「!」
夢から覚めたエレナは起き上がり、額に浮かぶ汗をセーターの裾で拭った。まだ月は上がっており、まだ真夜中だと分かるとホッとする。
息を整えながら部屋の辺りを見渡すとぐっすり眠るマホーンと元親の顔が月明かりに照らされている。
しかし、そこには元就の姿がなかった。
それに気が付くとエレナはレボルバーを手に取り、部屋を出て行った。
その頃、元就は森の中へ入っていく。久しぶりに1人の時間を持てると気持ちが和らいでいく。悲しげに昇る月を眺めていると、何者かの気配に気が付く。
「誰ぞ…」
真っ暗な森では視界が悪く運悪く霧が発生した。
さらに視界が悪くなると元就は嫌な予感がして、辺りを見渡す。
すると元就の背後に黒い影が現れ、鼻と口を布で塞ぐ。
「!」
元就は振り払おうともがいたが、段々に意識が薄れていくと、体は影に任せた。
影は元就の体を背負い、霧の中を歩いて行くと用意されていた黒い馬へと脚を向けた。するとピストルの鳴る音が森に響き影は振り返った。
そこにはレボルバーを構えたエレナが立っており、もう一発銃を放つと、その弾は影の膝を貫いて拍子に影は元就の体を放した。
エレナは影に銃を向けながら元就に近づいていき、眠る元就の体を抱き寄せた。
しかし、影は素早く馬に跨り。そして2人目掛けて大き目な筒を向け、引き金を引くと太い縄が2人を包み込んだ。
そして馬が走り出すと、2人を引きずりながら森を駆けて行く。
地に咲く雑草が体に突き刺さるようだった。エレナは元就の体を包みながら後悔した。
(武器を持たせればこんなことにならなかった…)
元親の言葉が頭を過る。
馬の走るスピードが上がると地面の摩擦でエレナの顔が歪んだ。すると、鋭い音を立てながらこちらに向かってくる金属が縄を断ち切った。
解放されたエレナは元就の体を抱えながら音がした方へ目を向けると、そこにはマホーンが立っているのに気が付いた。
マホーンは容赦なく銃を影に向け引き金を引くと影は馬から落ちていった。主人が落ちても知らぬ顔で馬は森の奥深くまで駆けて行く。
マホーンは影の元へ走り、銃を影の頬に押し付ける。すると影の正体がまだ青年だと分かると眉を動かした。
「殺さないで!」
青年は恐怖で目を瞑ると体を震わせた。
その様子を見てマホーンは青年の頬を殴って気絶させた。
「ったく世話のかかる野郎だ」
マホーンは青年を背負いながらモーテルへ帰っていく。