夕闇少女

□ハンプティ・ダンプティは夢を見る
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浮遊感の後に落下する感覚.....というかもう落ちた後だった
頭を思いっきりぶつけてしまう、一瞬星が浮かんだかのような痛みが走り再び意識は眠りに入ろうと....
出来ればよかったのだが激痛のおかげで私は眠りにつくことができなかったらしい、今は思いっきり打った頭を抑え込んで床にふせぎこんでいる。
「.......っ痛い〜〜〜〜〜〜〜っ!」
じたばたとしながら痛みが治まるのを待つ
一体なんだってこんな目に遭わなければならないのだ!

「大体、ここどこなんだろう」
周りを見渡すが部屋そのものが薄暗くてよく見えない
荷物などがいくつも置かれているところからすると倉庫なのだろうか
「とにかく外に....」
立ち上がり外に出ようとした時だった、いきよいよく何かに手を引っ張られる
まさかおばけじゃ.....!
振り返った先には帽子を深くかぶった子
え、まさか子供の幽れ....「あんた....なに?」
シャベッタアアアアァァァァァ!!

「えっと、現状の確認をしよう、そうだ、それが大切だ......」
「何頭抱えながらぶつぶつ言ってんだよ、お姉さん、今の状況わかってないの?あと静かにしてた方がいいよ」
「へ?えっと、ここがどこかわかるかな?あと静かにってどういうことかな?」

子供は呆れたように頭を押さえてわざとらしくため息をついた
いや、その気持ちもわかるけどさ.....

「ここ船の倉庫の中だよ、そんなことも知らないで乗ってたわけ?」
「は?いやいやいや、普通いつの間にか船に乗るとか........」
待て待て待て、まさか誘拐事件?私は誘拐され身代金を要求されてしまうのか.....?!
その場合両親の方に連絡がいくのだろうか....
と考えたときだった、違和感を感じる

両親に連絡.....?誘拐......?
何かがしっくりこない、かけたジグソーパズルに無茶苦茶な形のピースを無理やりひっつけているような....

「....どうしよう、両親の顔が思い出せない....」
「へ?お姉さんどうしたの?」
「記憶が.....ないんですよ、思い出せない........」
「え、ちょっとそれってやばくない!?」

私よりもあわてている子供、それは普通の反応であったが私はどうすればいいのかもわからず思考を放棄している
思い出せることはなんだろうか、自分の名前......これは分からない
家族構成....これも思い出せない
では私はこの状況になるまでに何があったのか.....これも思い出せない

「気が付いたらここにいて.....何があったかわからない....」
「ねぇ、それって記憶喪失ってやつじゃ.....」

瞬間ドアが勢いよく開かれた
それとともに部屋に入ってくる体格のいい男性たち
「お前たちなぜここにいるっそこで何をしているんだ!」
男の怒ったような声とともに手を無理やり引っ張られ引きずられる

「痛いって....離せってばっ!このっ!」
子供は必死に暴れるが、子供の抵抗など大人の前では無力だ、そのまま二人引きずられながら部屋を出され連れて行かれる

連れていかれた先は甲板だった、青い海が広がっている、ああ、ここは本当に海の上なのだな、と少しずれた方向に考えてしまう。
自分自身何が起こったかわけがわからず突然すぎるこの事態に思考が追いつかない。
パニックになるでもなく、ぼうっとする思考、深くものをを考えることはできなかった。


「おい、どういうことだ、関係者以外はのせない約束だぞ」

声の方向を見ると体格のいい年輩の男が立っていた
横には学生服の男性が二人、格闘ゲームに出てくるような人が一人、そして独特な雰囲気の男性がいた。
なんだろう、この個性豊かな人たちは...

「密航者です」
そういわれ前へと付きだされる
近くで見た帽子をかぶった学生服の男に見覚えがあるような気がした
「あ......あなたは.....」
一瞬名前を呼びそうになるのに思い出せず言葉が出てこない
私は自分自身に戸惑いを隠せずにいた

なぜ、忘れるはずがないというのに....
____________________どうしてそう思うのだろう
私は目の前にいるこの男をよく知っている、本能というものだろうか、
どうしてなのかはわからないがこの男を知っているということだけはわかる。

じっと彼を見ていたからだろうか
彼は私にいぶかしげな視線を向ける、見られていることにうっとうに顔を歪ませる
なぜだろう、この顔はすごく見覚えがある....

じっと見続ける私にしびれを切らしたのか、男が口を開いた
「お前は誰だ」




その質問に、私は頭が真っ白になった
私、私は___________________________________
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