きめつ

□任務帰りにご飯を食べる話
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4 任務帰りにご飯を食べる話

 あれから何度か時透くんとは任務帰りに会ったり、任務にご一緒させていただいたり(仕事できる方なので畏れ多くなってきた)した。たまに忘れられてるけど時透くんも頑張ってくれていたみたいで、紙を取り出して「もしかして…同期の琥珀って君のこと?」って言ってきたときはいろんな感情が押し寄せて泣くかと思った。なんだそれ、嬉しすぎるし尊いってこういうことか?
 これはわたし嫌われてないよね、そう思いませんか?

「ウルサイ、サッサト休息ヲトレ」
「冷たい…」
「琥珀?」

 えっ?振り向くと時透くんがいた。

「こ、こんにちは時透くん!」
「うん、よかった、合ってたね」

 名前のことかな、そうだよ琥珀だよ合ってますよ!やったー!

「今日はどうしたの?」
「任務帰りだけど琥珀もそう?」
「うん、一緒だね!」
「なんでそんなににこにこしてるの?変な琥珀」

 今日もこうして時透くんと会えたからさ、表情筋が仕事をしなくてね。困っちゃうね。しかも時透くんから声をかけてくれて名前も呼んでもらっちゃった!いいことありそう!

「このあと何もないなら一緒にご飯でも食べる?」

 ご飯!!一緒に!?食べたい!!

「食べたい!」
「嫌いなものとかあるの?」
「あんまり無いけど…」
「じゃあ着いてきて」
「はい!よろしくお願いします」

 いいことあった!もしかしてこのあとわたし死んじゃうのかな…でも嬉しい!とても嬉しい!
 ね!ってかわらず肩に乗ってる空に視線で訴えたら、頭をつつかれた。痛い。

「…空?」

 空は足踏みをしたと思ったら飛んでいってしまった。

「…鴉の名前?」
「うん、そうなの。空って言うんだ。…時透くんのところの子は何て名前なの?」
「銀子」
「もしかして、女の子?」
「うん、琥珀は会ったこと無いんだっけ」

 他の鴉がどんな感じか分からなかったからこれが普通なのかと思ってたけど、銀子ちゃんはいつもいつもそばにいるわけじゃないみたい。どうやらうちの子は思ったよりわたしと行動を共にしてくれていたらしい。かわいいやつめ〜!
 そうこうしている間にご飯屋さんについた。お腹すいたー!
 席についてお品書きを眺める。何食べようかな…。

「…決まった?」
「うん!」

 わかった、と頷いた時透くんはわたしの分まで注文をしてくれた。わたしは豚の角煮食べるよ!美味しいよね。洋食も食べてはみたいんだけどお高いし、なにより勇気がでないんだよね。
 自分で作ったらいいかな…。

「にこにこしてどうしたの?」
「えっと、誰かとご飯食べるの久しぶりだからちょっと嬉しくって」
「…言われてみれば僕もかも」
「誰かとご飯?」
「うん」

 そうなんだ、当たり前だけど時透くんのこと何も知らないな。

「さっきまでにこにこしてたのに急に真顔になったね」
「ちょっと考え事を…あ、ご飯来た!」
「(浮き沈みの激しい人だな)」

 初めてだけど落ち着くし1人でも来ようかな。いや無理だわ店員さんに話しかけられないから注文できないじゃない。手を挙げてたら店員さんが来て、わたしは指を指して注文、ができるお店じゃないと…。

「…美味しい?」
「うん!とっても美味しいよ、誘ってくれてありがとう」
「べつに…美味しかったならよかった」

 少し微笑んだ時透くんはすぐに真顔になると、自分のご飯を食べ始めた。
 えぇ…笑ったんだけど!本当にきれいなお顔ですね。

「本当に、ありがとう」
「…?何か言った?」
「ううん、何も」

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