きめつ
□任務に行く話
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2 任務に行く話
重い隊服と鬼を斬ることにも慣れてきた。結構今度こそ死ぬんじゃないかと緊張しているけれど、これが普通になってしまったならそれこそ終わりな気がするので緊張しているぐらいがいいと思っています。
刀は綺麗な透明感のある水色になりました。水色は好きだから正直ちょっと嬉しかった。
今は任務に向かっている途中なんだけれども…
「ソッチジャナイアホ!方向音痴モホドホドニシロ!」
は?あほじゃないし
「アホじゃないですー!はいはいこっちね、分かってるわよ」
「ハヤクシロ」
「むぅ…」
このうるさいのはわたしの元に来てくれた鎹鴉の空。どこからでも見守ってくれ、そしてあわよくば危なくなったら救ってくれという意味でつけた。この子いつもわたしに冷たいけど、これでもだいぶ仲良くなったと思っている。
…相棒だと思ってるのはわたしだけとかだったら嫌だなぁ。
「これでおしまい?」
「ソウダ!」
「わたし頑張った?」
「コレグライ、アタリマエダロ」
終わりらしいので鴉を肩に乗せて帰る。だいたい空はいつも肩に乗ってる。頭の上の時もあるけど。
今日は何食べようかなーなんて考えて歩いていると少し前に見覚えのある人が歩いているのが見えた。あれ?あれ、時透くんじゃない?声かけるべきじゃない?
少し駆けて声をかける。
「こ、こんにちは!」
顔を見るとよかった、時透くんだった。
「…だれ?」
がーん!
忘れられていた。そういえばそんなことも言っていたような。少しだけ悲しいけど挨拶しなおそう。忘れられていてもこの間会ったという出来事は無くなったわけじゃないんだから、そんなに落ち込むことでも無いだろう。
「えっと、同期の雨宮琥珀です」
「うーん、正直まったく覚えてないけど君の反応から察するに僕たちは初対面じゃないみたいだね」
難しい顔をしながら時透くんは言った。
「はい、最終選別でお会いしました」
「そう。任務帰り?」
「そうです、時透くんもですか?」
「うん。…じゃあね、僕こっちだから」
「あ、はい!また今度」
分かれ道だった。ちょっと寂しい。でも会話をしてくれた。
「いい感じでしたよね空さん!」
「マァマァジャナイカ」
やったー!!!なんか元気が出てきた、これからも頑張るぞー!!
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