短編集
□残暑が残る夏の終わり
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……あつい。
九月上旬。
暦は秋に入ったというのに、残暑がひどくとても暑い。
まぁ真夏の気温に比べたら楽だけど…
それでもあついものはあつい。
校舎四階の一教室で私は一人ぼーっとイスに座っていた。
日は暮れて夕焼けが綺麗に広がっている。
どうして私がこんなところにいるかというと…
私の彼氏である高杉晋助が先生に呼び出しをくらいそれに付き合わされた私は、晋助が帰ってくるまでここで待っているわけ。
そんなことなかったら早く家に帰ってクーラーのかかった部屋でのーんびりとくつろいでる…はずだったのに!
あー…あつい。
かれこれ晋助が先生の元へ行ってから30分は経つ。
暑さと待ち時間の長さでイライラは募るばかりだ。
もう帰ろうかなぁ……
ぐてっと机に寝るように顔を伏せる。
なんで呼び出されたんだろう…
タバコがばれたのかなぁ…
それともお酒??
まぁ、何にしろいい事ではないだろうな…。
「しい」
低音の落ち着く声で名前が呼ばれた。
ふと顔をあげると教室のドアのところで私を呼んでいる晋助の姿が目に映る。
「…遅い…」
不機嫌そうな声を出すと一言
「わりぃ」
と返ってきた。
カバンを手に取り肩にかけ、教室から出る。
晋助と並んで歩くのってなんだか安心する……。
不良と恐れられてるけど、実はとても仲間想いで優しい人。
だからこそ、安心できる。
きっと、今回呼び出されたのも大方ケンカとかそういうのだろう。
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