長編小説

□第三話
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・・・出口が見つからない





この家・・・てか別荘?広すぎだろ!?






ロイんちよりも広いんじゃねぇか・・・?






・・・それにしては人影が見えない






変わった別荘だな・・・






「・・・おぃ」






・・・ん?






今・・・声をかけられたような・・・






「・・・おぃって言ってるだろそこの金髪野郎!!」

「あぁ!?」






後ろを振りかえると






茶髪のチビが立っていた






「・・・何だよてめえ。ここのやつか?」

「違います、あんたこそ、何マルスさんの家に入ってるんですか!!」

「あぁ?お前に言う筋合いはねぇよ、失せろチビ」

「チビじゃない!!ピットです!!いいえ!!僕にも聞く権利はあります!!だって僕は

マルスさんの幼なじみですから!!」

「・・・」






何だこいつ・・・






チビのくせに変にいばりやがって・・・






「あんた・・・マルスさんの何です?」


「何でもねぇよ」


「・・・じやぁ何で・・・何でマルスさん泣いてたんですか!!」


「・・・見てたのか・・・」

「あんたが怪しかったんで見張ってたんですよ」


「・・・なんでもねぇよ」


「何でもないわけがないでしょ!?あんた「うっせぇよ!!てめえに話すことなんかこれっぽっちもねぇよ!!」





腹立ってきた


見張るって、覗いてただけじゃねぇか


ぐちぐちぐち言いやがって

「幼なじみだから何だ?あぁ?幼なじみだからって何で全部話さなきゃいけねぇんだよ?先公も迷惑だろうよ!!


「・・・!!」


あんだけ五月蝿かったチビが黙って視線を下に向けた





「・・・へっ調子のってんじゃねぇよ」






俺が進むのを防いでいたように立っていたチビを通りぬけた






・・・!!ダーク!!そういえばダークはどうだろうか・・?











〜 〜









「・・・ただいま・・・ダーク・・・」






恐る恐るドアを開く






「おぉ、お帰り」






ダークが笑顔で迎えてくれた





ホッとした






「・・・!?ダーク!腕から血が・・・」


「ん?あぁ、たいしたことねぇよ、抑えてた時に・・・爪が食い込んじまったんだろぅ・・・」


「ダーク・・・」


「・・・でも、俺抑えられたんだぜ?少し成長したろ?」


「・・・あぁ・・・ダーク・・・よかった・・・」






凄いやダークは・・・


精神の問題を自分で止めようとするなんて・・・





「とりあえず、血を止めよう・・・」


「おぅ。あ、今日の夕飯何?」


「今日はオムライスにしようと思ってるんだけど、いいか?」


「オムライスか・・・楽しみだな」




今日はもう一品作ってやろう

















〜 〜









「ピット君・・・心配して来てくれたんだ」



「・・・はい」


「ありがとう。でももう大丈夫。何でもないし、リンク君は僕の生徒だよ。怪しい人じゃない」


「・・・そう、ですか・・・」


迷惑、だってことわかってる






でも

大切なんだ






すごく、すごく






「・・・ピット君?」






この人の笑顔を守るためなら

たとえ嫌われたって

何でもする


決めたんだ






「マルスさん、僕・・・マルスさんが泣いている顔見ると、すごく苦しいんです。だから僕があなたをずっと守ります。」





もう子供じゃないんだ






何もできないわけじゃないんだ






あなたの明るい顔を見る事が





僕の幸せなんだ






「ピット君・・・ありがとう」






頭を撫でられる






もう昔みたいに辛い思いはさせない






_____心から大切だと思える人だから・・・






〜 〜









「・・・じゃぁダーク、大丈夫だったんだ」


「あぁ、かなり心配したけど・・・よかったよ」






教室で早弁しながらロイと話す






相変わらずロイはいっつもカレーパン食ってるな・・・





「そっか〜、昨日はごめんな、親父がいきなり呼び出してきたからさ〜」


「別に、暇しなかったし・・・」


「あり?そうなんだ?どして?」


「・・・!!」






何で理由聞くんだよこいつ・・・






「え〜と・・・・ゲ・・・ゲーセン行ってたからな」


「ふぅ〜んそうなんだ」


「・・・そういえばアイクは?」


「わっかんねぇ。朝からいないじゃん。サボりかねぇ?」






そんな話してたらアイクが教室に入ってきた






「おっ噂をすれば〜・・・てアイク!?どうしたんだそのケガ!!」


「うわっ・・・喧嘩に絡まれたんか!?」






ひっかき傷みたいなのが顔中に広がっている






「いや・・・昨日女に面倒なこと言われた」



「”なんで私以外の人とヤるの〜!!”みたいな?」

「そんな感じだ」


「そんな女もいるんだな・・・」


「まぁ・・・一応金もらってるから何も言えんのだがな」


「・・・そういえばさ、アイクっていつもいくらぐらいもらってるわけ?」


「・・・・一人五万だったような」


「「ごっ・・・五万!?」」


「あぁ。でも全部生活費や学費で消えていく。借金もあるしな」



「妹とか怒らないの?売りとかやってて」


「・・・妹にはいくつかバイトをとっていると言っている」


「そ・・・そうなんだ・・・」






アイクは妹と二人暮らしで





親の存在は知らない






だから仕送りなどもくるわけがない






アイクは頭のいい妹をいい高校に行かせるためにバイトをしていたが






だんだんと追い付かなくなっていき






今は売りをやって稼いでいる






なんで借金があるのはよくわからないが






深く聞くのも悪い気がする





「今日もあるのか?」


「あぁ、三人ほどな」


「三人!?体もつの?」 


「・・・これも生きてくためだからな」


「そっか・・・」






アイクも大変なんだな・・・






「・・・俺ちょっと飲み物買ってくるわ」


「あ、俺のコーラも買ってきて!!」


「あぁ?人を使うんじゃねぇよ」


「いいじゃぁん、ちゃんとお金返すから、ね?」


「チッ・・・しゃぁねぇな」






ポケットに買えるくらいの小銭適当に入れて教室を出た



・・・確か中庭の辺りに自動販売機あったような・・・
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