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□恋人専用
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「はぁ〜!凄いねソウさん!」

「んー?んふふふー」

褒められ笑顔を隠せない俺の恋人は腰に手を回し、シュッシュと衣擦れの音の後、手際良く絞める作業をした。

膝をついた格好から俺を見上げて顔を赤らめてニコニコしてる。

「格好いい…」

「ソウさん、モノローグ漏れてる。恥ずかしいからやめて」


夏祭りに行こう。

そう提案したのは俺。

「じゃあ浴衣!一緒に浴衣で行こう!」

と目をキラッキラさせて思った以上に乗り気にな恋人。…可愛い。


とはいうものの、浴衣って着たことないし面倒くさそうで嫌だと思ってた。
けどうちの恋人は以外に多才な人間だった。

「浴衣の着付け?できるよ?なんなら着物も」

「マジですか!?」

「マジです!」

えっへん、と効果音がつきそうなくらいドヤ顔で言われました。

「すごいっすね…」

「なんてね、別に凄くなんかないよー」

言いながら立ち上がって、今度は俺の浴衣の衿の重なりをきっちりと直してくれた。

「はいできあがりー。よし!」

出来栄えを見て満足そうな恋人。

「ありがとうございます」

「これくらい任せちゃってよ。いつでも着付けしてあげるからねー」

感心している俺のそばで恋人はあれよあれよと自分の着付けを済ませてしまった。

「さっ、行こっか!夏祭り」

はやくはやくと俺の手を引っ張って玄関に向かう。

「ソウさんの着付けは俺専属ってことにしといてね」

引かれていた手にぎゅっと力をこめて伝えると、「う、うん」と照れた表情で返してくれた。

「俺はソウさんの浴衣を脱がす専属ってことでよろしく」

「ぶっ!ばかーーー!!!」

頭に一発頂きました。

想定内、想定内。

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