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□続・雨の日
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雨の日に相合傘で帰宅した3日後…。

ピピ、ピピ、ピピ。

「あー…、やっぱ熱だわ」

脇から取り出した体温計の数字を見てから、あまりのダルさに体温計をベッドに放り投げた。

昨日から喉の違和感があったからちゃんと市販の風邪藥を服用したんだけど…。

ハンサムな恋人はまだ帰宅前。

心配させたくないから、体調が悪い事悟られないようにしなきゃ。

俺は慌てて解熱剤を救急箱から探し出しキッチンへ行く。

「はっ、はあ……っ」

数歩進んだだけなのにものすごい倦怠感に襲われ、そのまま床に寝転がった。流石に39度近いとしんどい。

「あー、冷てぇー」

硬いのは残念だが、冷たいのはありがたい。

少し落ち着いたら、薬飲んで…、夕飯の買い物して……、料理作って………、それから………。


◇◇◇


「おかえりー!」

「た、ただいま…?何?何かあった?えらくご機嫌な感じ」

玄関のドアを開けたと同時に普段より元気な声で出迎えれ、びっくりした。

「えー?何にも無いよー」

そう言って年上の恋人は顔を赤くして、日課のおかえりのチューをしてくれたが…。

「…?なんで今日ホッペにチュー?」

恋人は訝しげな俺の表情の顔を両手で包んでムニムニする。

俺の頬を弄ぶソウさんは何か一段と可愛い。そしてあったかい。

「今日お昼ギョウザ食べたからね。チューして臭いとか思われたくないの!」

そう言って恥ずかしそうな顔で見上げられるとたまんない。
目もこころなしか潤んでるし。

「俺は全く構わないですけどね」

頬にあった両手を捕まえて逃げられなくしてから、ニラ臭いらしい口に少し深いチューをした。

「あっ、ふっ…ん…」

可愛い喘ぎと舌を一緒に絡め取ると、いつになく熱い。

「臭くない。むしろ甘い」

唇を離してぺろりと舐める。

「バカっ!」

といつもの言葉をかえされた。




夕食後、風呂から上がってくると、
スー、スーと、普段より大きく荒い寝息がソファから聞こえてきた。

隣に座り汗の滲む額に手をあてる。
もうとっくにばれてるよ体調悪い事。

「ん…、あー寝てた?」

人の気配に敏感な恋人はごそごそと起き上がった。普段よりも数倍ゆっくりと。

相当辛いんだろうなと見ててわかるけど、人に頼るのが嫌いな恋人のことを察してあえて大丈夫?と口に出さない。

「今日はもう寝よ?片づけは明日、な」

とびきり優しい笑みを作って恋人の髪をなでると、熱でぼんやりしながら手にすり寄って「うん」と返事をしてくれた。

ベッドまで抱っこするため体の下に出を潜り込ませると、恋人の両腕が俺の首をぎゅっとしてきた。

やっと「心配していい」のお許しがでました!



次の日、高熱の為恋人即病院行。


もう我慢禁止ね!
見逃さないからね!

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