春一番 完結

□春一番 エピローグ
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れいなは前世って信じる?

絵里はこんなこと言ったら引くやろうか…



【春一番 12】


絵里視点


「はっ…はぁ〜夢かぁ」
「どうしたと?」

「うんん、なんでもない」
「…じゃーどうして泣いてると?」

れいなの言葉に初めて自分が泣いてると
知った。


「ほんとだ」
「絵里?なんかあったと?」

「なんにもないんだけどねぇ」
「それならいいっちゃけど」

そういって、頭を撫でてくれたれいなに
また、涙が溢れた

それでも、無言でぬくもりをくれるれいなに
絵里は感謝した。


なんか、加入当時からずっと今のメンバーへ
懐かしさがあった。

藤本小隊と呼ばれた

あいちゃん

ガキさん

藤本さん

さゆ

そして、れいな




なんか、初めてじゃないそんな
不思議な感覚があって


今も、みんなで雑談しているし
珍しく、藤本さんが中心で笑っている


えりはというとこの前から始まった
劇の練習で精神的にきていた。


今まで、こんな気持ちになったことないし


本番の衣装合わせではまさかの失神したし
絵里はどうしたんだろう


「でも、面白い劇ちゃよね」
「…」

「テーマは重いけど」
「…」

「遊び心満載やけん」
「ダメだよ!」

「へっ?」
「戦争を遊びなんかに使っていいはず…ないもん」

絵里が突然大きな声を出すから
みんなこっち見てる

「でも、もう昔のことだし割り切らないと」

そう、言った石川さんや

「そうだ、仕事だしな」

続いて言ってきた吉澤さん


「…」

無言でれいなの手を振り払って
絵里は楽屋を出た


絵里が間違ってるのか
絵里はおかしいの?

衣装を着て、鏡に映った自分を見て
怖くて気を失ってしまった。

そんなえりを見て笑ってるの?




追いかけてきたらしいれいなと

共感?したのか反論しにきたのか

例の藤本小隊が揃った。


「えりぃ…泣くなっちゃ」
「どうせ、れいなにはわからないもん」

「れなだって、おかしいって思ってると」
「じゃ、なんで笑ってあんなこと言ったの?!」

「おかしい子だって思われたくないから怖かったと」

ポロポロとあふれる涙を抑えようともせず謝るれいなは
夢の出撃直前のれいなにかぶった。


「やだぁ、なかないでぇ」
「えりぃ?」

抱きしめて、泣いてたら

「かめ、私たちもかめの意見に賛成なんだよ」
「うん、絵里の言う通りなの…けして、遊びで使って
いい話ではないの」

「絵里、みんな馬鹿にするかもしれんけど
あーしなぁ夢を見続けてそれで…」

「夢?」
「うん、あーしたちが戦争に行ってる夢」
「それなら、美貴も見たことあるよ」

「しげさんと一緒に死んだ夢」
「さゆみもみたことあるの」

「…絵里もちょうどその夢見てて
…それで、怖くて…」

また、溢れてきた涙を愛ちゃんが拭ってくれた


「みんな見るなんてしかも共通してるっぽいし
今、集まってるのは何かの縁かもね」

「もっさんの言うとおりなのだ」
「だとしたら、結構すごいことやなぁ」


「たまに集まって話すと面白いかもね」
「美貴ちゃんが当時は一番上だったんやよぉ」

「でも、さいごは絵里とれいなは藤本さんと同じ
少尉まで行ったんですよぉ」

その、言葉にみんなが固まった
なぜって、話す事が理解できているからだ

「私は曹長止まりだったのだ」
「あーしも曹長止まりやったわぁ」

みんなで階級を言って笑ってる
きっと、知らない人が聞けば若い女の子が

軍の階級で話して笑ってるなんて
おかしな話なんだろうけど

それが、通じることに
絵里だけじゃないんだと感じれることに

今、すごく安心感があった。



「ガキさんが書いた手紙通りになりましたね」
「え?」

「最後に来た手紙です」
「あれ、見たの?!」

「みましたよぉ」
「だって、私が出撃する寸前に
手紙来たからもう遅かったなぁって」

「私は一度失敗してるんです。」
「ほぉやったんか」

「はい、きっと、私が一番最後です…死んだの」
「「「「「…」」」」」


改めて、戦争の怖さを知る


「美貴なんかこのなかでしげさんと
同時に一番じゃん?全然わかんないよ」
「次が愛ちゃんだよね?」

「うん、次がれなで」
「その次が私なのだ」

「で、最後が絵里」

「「「「「…」」」」」

「今更、だけどあれって現実だったんだね」
「やたら見るし、続きだからへんだと思ったけどね」

「絵里、最後まで辛かったやろ」
「れーな」

「ごめん、でも、もう離さないっちゃん」
「うへへ、れーな♪」

「美貴ちゃん、あれ、何十年越しの純愛?」
「まるでドラマのような愛だね」

「さゆみはかがみでもみるの」
「…さゆみん」


そのあと、解散してたまにはその話で盛り上がろうってなって
仕事も終わり、今日もれいなとの帰宅中


「にしても、まさか藤本隊全員覚えてるなんてすごいっちゃね」
「うん、引かれるかと思ったらみんな見てたなんて」

「絵里にまた会えて良かったと」
「絵里もれーなに会えてよかったですよぉ〜」


わらいあえることがこんなにも幸せなんて知らなかった
共通の情報がこんなにも安心できるって知らなかった。

えりたちは平和な世界に生まれて
今を堪能できてることに充実した気分で

帰路を急いだ





終わり

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