春一番 完結

□春一番 4
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みきねぇ!

藤本さん!



【春一番】


美貴視点



お偉いさんに呼び出されて
ぼこられる?って思ったけど

どうやら、任務らしい。
作戦内容はどの部隊からでもいいから


腕のいいパイロットを連れて
部隊をその場で編成し最前線への偵察

場合により敵機への攻撃をかけること。



その作戦内容を聞いたとき
美貴はいつも、集まっているれいなたちが


まっさきに出てきた。
あの子達が一番腕いいし

ってわけで、休憩時間集まっている場所へ
足を運んだ。



「おぉ、楽しそうだね」
「ふ、藤本少尉、どうかいたしましたか?」

「いや、少し話があってな」
「話ですか?」

「あぁ、新たな作戦ができた」
「作戦?私たちに関係あるということですか?」

「察しの通り、ここにいる5人を連れて戦地へ
赴くこととなった。」


そう言い放った後の反応は見事に一致していた。
微妙な顔をしている 笑

作戦内容の説明と他言無用な事
特に、嫌そうな顔をしたれいなは

考え込んでしまっている。



「では、休憩中悪かった」
「いえ、ありがとうございました。」

みんな敬礼して美貴はその場をさろうとした。

「少尉、少々お時間をいただけますか?」

まっすぐ射抜いたれいなの目を見て嫌だとは言えず

「あぁ、ではあちらへいこう」


れいな視点



「みきねぇ、作戦内容のパイロットって」
「ん?」

「ほかの人じゃいけんの?」
「上のお達しは腕のいいパイロットを求めてる」

「れなたち以外にもたくさんいると」
「今はお前らを連れて行くのがベストだ」


はっきり口にしないお前ら以外を選んだら
贔屓がバレるという実力を認めている言葉


「…わがままいって申し訳ありませんでした」
「いや、美貴はお前の気持ちわかんないわけじゃないよ」

「みきねぇ?」
「美貴も戦友失ってるし」

「え…」
「しかも、今回の作戦は結構危ない賭けだよ」

「…」
「名パイロットを求めてる時点で危ないのは最前線だし
想像がつく」

「そうっちゃね」
「今までの仕事の中で一番危ないかも
それに、仲間も失うかもしれない」

「…」
「でも、美貴たちは軍人だ誰かが行って戦わないといけない」

「みきねぇ、絶対死ねんけんね」
「うん、生きて帰ろう」

そろそろ、時間だからと別れたけど
れいなはみきねぇの話が頭から離れなかった。


そして、時は流れ決戦の日。


絵里視点


いつもの、飛行服に身を包み
休憩中に集まっていたメンバーが集まった。

初めてのこのメンバーでは初めての実戦

えりは少なからず緊張していた。


「えり」

そういって、手を握って「大丈夫やから心配すんな」
そうぶっきらぼうに言い放ったれいな


そして、藤本少尉がやってきた。

「77部隊、今から戦地へ行く…ついてこい」

なんか、かっこいい
いつもにましてカッコイイ藤本少尉に

みんなテンションがあがり
そして、みんな拳を突き上げた。




2人1組で乗ることになった。
飛行機が足りないらしい。


「絵里、よろしくなの」
「うん、よろしくね、さゆ」

「ガキさん任せといてのぉ」
「うしろは任せて欲しいのだ愛ちゃん」

「前はたのんだぞれいな」
「もちろん、まかせるっちゃみきねぇ」

こんな組み合わせで


操縦組は

れいな

絵里

愛ちゃん



見張り兼攻撃組は

藤本少尉

さゆ

ガキさん


に決まった。



数時間後


「よしっ、ついたな」
「どうするっちゃ?」

「何機か落としたの」
「なんか、やばいです」

「なにがやばいの?!かめ?」
「詳細を言うんやえり」

「あ、墜落するかも」
「いやなのいやなの、」

「ちょ、一度、降りるか」
「おっけーっちゃ」

そんな会話が有り
みんなで、戦地になっている地へ

着陸した。



「降りるつもりはなかったんだけどな…」

ぼそっと、言った少尉の言葉で予想外の
事態に陥っているのだと知るまでに時間はかからなかった。


ペコペコ謝って

「いや、全部ボロいからいつ誰がこうなっても
おかしくないし」


上官らしくない上官だ


しばらく、歩いて敵と出くわせば
誰かが容赦なく射殺して

流石に、こうやって歩きながらの戦闘は経験が少ないから
恐怖が意外と出てくる。



「少し休憩しよう」

少尉の言葉にみんな賛成
食事を取り、水分も取り

また、歩き出した


しばらく、2、3日歩き続け
日本軍に出会い

合流した


事情を説明し、一緒に帰ることになり
その、帰り道、母艦に戻る途中



戦車と出くわした



どうしようもない状況に、爆弾を巻きつけた藤本さん


「あとは頼みます。」

今居る隊の隊長にそう言い放って
体当たりをしようとしたが


その一瞬でさゆがとめた


「藤本少尉、私も行きます。」

「何言ってんの?!」

「一人では行かせません」
「いやいや、ダメだから」


そういいながら爆弾をまとったさゆをみんなで止めた
ってか、少尉のこともみんなで止めた。


「さゆっ、簡単には死なないんでしょ?!」
「…」

「さゆ!生きて帰るんでしょ?」
「今は母艦への帰省が第一」

「やり方が間違ってる!」
「家族のもとへ行きたいの…」


ぼそっとそう言って、振り切って行ってしまったさゆに
舌打ちして猛ダッシュした少尉


少し離れたところで聞こえた破裂音2つ


「簡単には死なないって言ったじゃん…」


さゆと少尉の戦死を目の当たりにして
動けずにいる絵里を引っ張ってくれたれいなに


えりは感謝した


「とにかく、走ると」
「かめ、もどるよ!」


軍艦に乗り込み日本へ

ただ、ただ絵里はさゆを失ったことが
少尉を失ったことがたまらなくショックだった。


れいなと愛ちゃんが話していた


これが戦争やけん、早く終わらせなければならんと

多少の被害は目をつぶるべきなんや…悔しいけど


その言葉が絵里に巻きついて離れなかった。










つづく

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