春一番 完結

□春一番 3
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さゆは優しすぎるんだ

絵里はお人よしすぎるの




【春一番 3】





絵里視点



少し前さゆと会って夜、抜け出して
そんでもって、見えにくい芝生の上に寝転がって


話したことがある。

「絵里、聞いて欲しいことがあるの」
「ん?」

「さゆみは戦争で兄を親を失ってるの」
「え?」

「この、戦争で初期に戦地で戦死してるの」
「さゆ…」

「だから、この手で敵を滅するために…」
「…」

「さゆみは敵を討ちたいの」
「そうだね、このままじゃいけない」

「笑っちゃうんだよ」
「え?」

「祖先は80年前の戦争で特攻して死んでるの」
「そんな」

「兄も戦争で…親にいたっては目の前で…のろわれてるとしか思えないの」
「…」


とまらない、言葉を繋いでいくさゆが
とても、寂しそうに見えた。



「親戚にはあんたまで失いたくないって言われたの」
「それは」

「そんな簡単に死ぬかっていうの 苦笑」
「だよね 苦笑」


そういえば、れいなは志願する時どういう気持ちだったんだろう。
ふと、横を見たら月夜に照らされたさゆの横顔が

凄く綺麗で何かが壊れそうだった。



「さゆみは飛行機よりも船が良かったんだけどな」
「えぇ、戦闘機のほうがいいじゃん」

「ん〜まぁ、最後を考えればおぼれるのはねぇ…」
「…それはいやだなぁ」


一方その頃



数ヵ月後の宿舎小屋では

れいな視点


「…」
「田中何処へ行く」

「夜風を浴びてくる予定でした」
「そんな言い訳が通じると思っているのか」

「申し訳ございません」
頭をシッカリ下げた

……

「…田中、指導してやろう外へ」
「はっ」敬礼してついていく

外へ出ると今までの藤本さんは姉へと変わった。


「れいな、いい加減に死に急ぐのはやめろ」
「…べつにそんな事してないやろ」


藤本さんはいい人だった。
でも、人前では鬼のようにしごきまくる

怖い人だった。

「…お前の何処を見ても無理してるようにしか
見えないんだけど」
「…」

「れいなさ、なんて言われてるか知ってる?」
「知らん」

「ちびっ子追撃王」
「ちびっこは余計やん」

「人が変わったようだってよく聴くけど
それに、昇級がいくらなんでも早すぎる」

「しらん、なんもれなも知らんと」



美貴視点


このちびの上官な美貴だけど
じつは、その前からの知り合いでもある。


まぁ、5つくらい差があるから
仕方ないんだよ美貴が上官なのは。


ってはおいといて


どうみても、死にたそうな顔をしている
ちびをどうするか


最前線に志願して赴き(だから、昇級が早いわけ)
無傷で帰ってきて…暗い顔


いやいや、(死ねなかったよ…はぁ)
みたいな、ノリはいただけないよ



この後、数日後れいなの大事な人
プラスの仲間達と戦場へ赴くのだが

あのオンボロ飛行機で行くのは嫌だ
ってか、先が見えてるよね

陸軍みたいにってか、少年兵みたいな

戦いをせねばならないじゃん?どう考えても
このれいなを連れて行くのは気が向かないな


「みきねぇ?」
「ん?」

「話しは終わり?」
「終わり」

「じゃー眠いから寝たいと」
「そうだな、戻るか」



戻って芝生の2人はというと。



「そろそろ、戻らないとぼこられるの」
「それは嫌だから、ねよう」

一応、ばれずに戻れてあっさり寝た2人






「絵里?」
愛ちゃんの声だった

「そろそろ、訓練行くけど大丈夫け?」
「うん、絵里も早く戻れるように頑張るね」

「おう、1週間くらいで戻っていいらしいからいい子にしてるやよ」
「絵里は子供じゃないですよぉ 笑」

「まだまだ、子供やよぉ 笑」
「もうー…ありがとうございました 笑」



この時すでに、次の予定は決っていた。



つづく

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