ハロー開拓史

□ハロー開拓史 5
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木の実の味も花の匂いも
全てが私の初めて。



【ハロー開拓史 5】




「まったく、まいだったら吹っ飛んでたんだからねっ」
「はいはい」

「ちょっとー」
「ごめん、ごめんって」



なっきぃにどつかれていると
愛理がご飯を運んできてくれた。


「めしー!」
「あ!こらー」

「まったく…」
「ごめんね、なっきぃ」


リーダーが謝ってそこは一段落。


そして、初の食事は半端なく驚きの連続で…。



「にっがー」
「これ、魚の味がする…」

「でも、慣れてくるとかなりご馳走だね」
「うんっ!」




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食事を終えると調査結果を教えてくれた。


「この星には文明があって生物の確認もとれた」
「愛理のくれた反訳機すっごく便利だったよ!」


これだけ、文明の進んだところなら
修理もできるかもしれないってことで


「明日から、みんなで部品探ししよう!」


そのまま騒いで疲れて眠ってしまって
目が覚めると、白み始めた空に出会った。


「これだけでもだいぶ不安になるんだけどなぁ」
「愛理、不安なの?」


覗き込まれて突然声をかけられてへんな叫び声をあげそうになったのは
ご愛嬌だよね?


「ま、舞美ちゃん!?」
「おはよう、愛理」

「お、おはよう…」
「ご飯、取りにいこうか?」

「うん」



あまりにも、いつもと変わらないから
勘違いしちゃうんだ。


いつもと同じだって。
でも、ひとりになったとき自覚してしまう。


「愛理ー!」


その度に救ってくれるのはいつだってリーダーだった。


「どうしたの?」
「これって、昨日のやつと同じだよね?」

「本当だ、これお魚の味のやつ」
「美味しかったやつだ、これもうすこしもってこ?」


そういって、小さいカゴに半分位入れて
すぐに戻ったつもりでいると


「おそいぞー」
「火はもう起こしてあるよ」

「へへ、ごめんね」
「ほら、調理しよー」


みんな、起きていて準備して待っていてくれていたの。


「やっぱ、これ美味しい」
「ねー」

「今日はリーダーたちが行った街まで行ってみよう」
「楽しみっ!」


最小限の荷物をみんなで分けて持ち


「じゃぁ、出発するけど、各自危険だということは自覚しておいてね」
「「「「ラジャー」」」」



そうして、私たちはリーダーを先頭に歩き始めたんだ。






























目が覚めるとそこはみたこともない空の色
それだけで、鳥肌がたった。




「金澤ちゃん…?」
「はい」


清水さんの声ではっとする


「いたた…怪我とか大丈夫?」
「はい、清水さんは…止血できるもの持ってきます」


軽い調子でいたたとか言うから本人を確認すれば
結構な量の出血をしていた。



「少し痛みますよ」
「うん…っ!」


「すみません、もうすこし」
「大丈夫だから、ごめんねキャプテンなのに頼りなくて」



そう、眉を下げていう姿にあの人とどうしてもかぶってしまって。
鈴木さんは大丈夫だろうか…。


ってか、不時着したみたいなんだけど
この惑星にいなかったら…相当まずい。


「いえ、清水さんはすっごく頼もしいです」
「ありがとう、嬉しいよ」


止血してすぐ、清水さんは様子をみると言って外へ出ていってしまった。
うちは他のメンバーが起きるまで様子を見るように頼まれた。


「んっ…あれ」
「おはようございます、嗣永さん」

「…おはよう、キャップしらない?」
「確認に外へ行かれました」


そう言うと、血相変えて外へ飛び出していった
嗣永さんにうちも慌ててついていく。

なにか、あったら…どうしよう。
嗣永さんのあんなに慌てた顔初めて見た



「あっ!キャップー!」
「もも、どうしたの?」


息を切らした嗣永さんは
切らしたまま、清水さんに文句を言って

でも、なんだか安心したようで


「一人で出歩くと危ないって言ってんのに」
「ごめんごめん、でも、ここの星見たことあるの」


清水さんの一言で嗣永さんはあたりを見回して
清水さんを見つめた。


「きゃっぷ、そんな真面目そうな顔して禁本見たの?」
「ももこそ、見たんでしょ?」


禁本って図書館にあるやつだよね?
うちもみたいって思ってたけど簡単には見れない場所に

おいてあったんだけど…さすが秀才が集うグループ…。


「まぁ、それは置いといて」
「うん…」


清水さんと嗣永さんは顔を見合わせて
うちの腕を掴んで猛ダッシュして連れて行かれてしまった。



「あー帰ってきた」
「ももおつかれー」


入ってすぐに声がかかるけどそれすらもスルーして
バタバタと走り回っていて


「とも」
「リーダー」

「なにがあったの?」
「なんかさ、朝ねうちが」


説明を始めるとベリーズのメンバーもみんな聞いていて
変に納得した様子で、でもその瞬間

ベリーズの人たちは慌てて機械の整備に動き始めた。


「かりんちゃん」
「なーに?」

「とりあえずさ、うちらも手伝おう?」
「うん!」




























木陰から街の様子を伺っていると
確かに、人とは違う生き物が

二足歩行して私たちと変わらない
そんな生活があった。


「なんかわくわくするね」
「どちらかって言えばドキドキする」


活動的な千聖と内向的ななっきぃの違いを垣間見たところで
リーダーが崖みたいな坂を下りていった。


「☆★@@!」
「★?」

「★!」
「@@!」


わけのわからないことを言っていた
この星の住人相手にわけのわからない言葉で

返して戻ってきた。


「リーダー?」
「やっぱり、愛理の反訳機すごい」

「昨日確かめたじゃん」
「そうだね、鉄って物質自体はあるみたい」


その一言でみんなの表情が変わる。
喜びと希望が混じって

私たちのやることは定まっていったんだ。


「鉄だけなのかな?」
「わからないから、もうすこし話を聞いてみよう?」


数時間ほど、ばらけてそれぞれが情報収集に励んだ頃。
見たことある機体が真上を飛んでいった。


「リーダー、あれ」
「ベリーズの機体だね」

「どうする?」
「距離的に歩行じゃ難しいと思うんだけど」


困った顔をしたリーダーの意見は正しい。
一山こえたのは見えたから今は、合流自体が難しい。


「じゃぁ、早く修理しなきゃね」
「うん、とりあえず、スペースシャトルに戻ろっか」


私たちはそのまま皆と合流するために
待ち合わせのスペースシャトルまで向かった。




つづく

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