ハロー開拓史

□ハロー開拓史 4
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空の色、植物の種類。
私達の概念では計りきれない現実。




【ハロー開拓史 4】







あれから一夜が明け
今は、リーダーと愛理が調達してきたつたを

編み込んでロープにする作業を行っていた。



いつもはサボってたりする千聖や舞も
空腹が限界を訴えてるらしくすごく仕事が早い。




「矢島、巻きつけ完了!」
「了解!」

「岡井、巻きつけ完了!」
「了解!」


野性的なリーダーと千聖が巻つけに登り。
降りてきた。

あとは、この重いスペースシャトルを倒せばいいんだけど
装置を使っても古い機種だからすっごく重いんだよね。




「倒れてきたら左右に分かれて走る事、まっすぐ倒れるからね」
「「「「了解」」」」



リーダーの最終確認を得て作戦はスタートした。


「おっもー!なにが倒すだけだよ!」
「びくともしないねぇ…」


頭から刺さってるシャトルはやっぱり強敵で
まったく動かない。


「…千聖達はここで…」
「ちょっと、諦めないの!」


三十分もすれば千聖が現実逃避を始め
愛理がふにゃふにゃし始めていた。

そして、リーダーまで涙目になっていて…。


なんだか、心配になってきた…。



「ちょっと、やじっ…!」


声をかけた瞬間に変な音とあんなに動かなかったロープが
軽くなった。


「みんな、走ってー!!はしってー!!」


愛理の手を掴んで叫びながらすごい勢いで走っていったのを見て
千聖が舞の手を引いて走っていったのが見えた。



「ちょっ!ちょっと、まってよー!もー!!」



リーダー達のあとを追うように走り出すと真後ろでものすごい衝撃
思わず振り返った先に見えたのはより壊れて見えた私達のロケット。



…危なかった。
すっごくっ!!あぶなかった!!



「あ〜あ…こりゃ余計ひどくなったね」
「折れちゃってるよ」

「多少は中に部品あるけど…直せる範囲じゃないね」
「う〜ん…ここで調達しないとダメそう」



そうして、調達班と修理班に分かれて行動することになった。



「そうだ、これね試作品なんだけど」
「時計?」


ふにゃーってした顔で説明を始めるけど
ふがふがと聞き取れない。


「すごいね!」
「使ってみてね」


工具を漁ってるとリーダーの興奮した声。
うそっ!?聞き取れたの!?



「で?舞美ちゃんそれはなにに使うの?」
「自動反訳機だって、どんな言葉も母国語に聞こえるスグレモノ」

「すげーじゃん、いつ作ってたんだよ」
「フンンー♪ちょーっとね」


「なーんかその笑い方はらたつー」
「ほらほら、いってらっしゃい」



声をかければいつもの笑顔で手を振ってくれたのね。



「おうっほら、行こう舞美ちゃん」
「そうだね、じゃ、いってくるねー!」


































「どう?発信源ってここだよね?」
「うーん、まったく残ってない…かけらも」


飛び立った後すぐに目的地についたけど
そのあとが難航を極めた。



なんの手がかりもなく神隠しのように消えたんだ。
教科書では時空嵐は大きくその場に残るとされている。


近づくのもしばらくは避けられるのに
時空嵐さえ消え失せてしまった。



「こんなことってないよね…」
「学校で習ったのとはずいぶん違うもんね」


「口動かす前にかけらでもいいから電波追って!」
「「はーい」」


みんなのキャプテン頼れるキャプテン。
清水さん。




流石だ、こんな状況諦めても誰も責めないよ。





ゆかちゃんもかりんちゃんも猿もあーりーだって
みんな、諦めてない。

憧れの先輩をなくしたくないと頑張ってる。
私だってそう、でも、人は想定外に出くわすと本性が出るのかもしれない。


ダメだと思考を切り替えて画面を見た瞬間
ぞわーっと妙な感じがした。





「っ…!きゃっぷ!やばい、時空嵐が真ん前に開いてる!!」
「なんで!?さっきまでなかったのに!!」

「捕まって!振り回されるからどこかにつかまってー!!」





大きな振動が来る前に見えたのは先輩たちが消えた地点と
寸分も変わりなかった。



「意識がある人は操縦桿を!」


こんな揺れの中、なんであんな冷静なの?
キャプテン自らなにかを打ち込んで



「もってかれるっ!」
「嗣永さんっ!」



立ち上がった拍子に地面に叩きつけられて
目の間が真っ暗になったんだ。


































空が暗くなり始めた頃。



「大丈夫かな…」
「信じるしかないね」

「とりあえず、ご飯にしよっか」



焚き火に火をくべてとってきた怪しげなきのみを広げる。
わかってきたことがある。


奇想天外なとてもじゃないけれど口にできないと思っていた
この惑星の食べ物は地球の食べ物と酷似していた。


「ねぇ…赤い木の実から魚みたいな匂いがする」
「この肉みたいなのは菓子パンみたいな匂い」


見た目が違うだけで調理法も似ているようだから
匂いと感覚で分けていく。


「じゃぁ、赤い実は焼いてみて」
「この肉もどきは3等分しよう?」


出来上がったのはヘンテコな見た目のものばかりだけど
確かに、味と匂いだけはご馳走そのものだった。




「おいしー!けど、小さすぎてわかりにくいねぇ」
「これもパンそのものだけど…大きすぎ」

「慣れるしかないよ」


「「うん」」



一風変わった夕食を3人で楽しんでいたら
茂みが微かに揺れた。



「…!」

「愛理、なっきぃ」


ぼそっと聞き逃しそうな舞の声を頼りに
集まると影が飛び出してきた。


「っ!」

その後ろからものすごいタックルをくらって
それがリーダーと千聖だと気づいたんだ。






つづく

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