ハロー開拓史

□ハロー開拓史 3
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広い草原、深い森
そして、現れたのは小さな始まりの村。




【ハロー開拓史 3】





目が覚めると揺れは止まっていた。
私はなっきぃを受け止めるような体制で気を

失ったらしい。



「いたたっ…」


起き上がると入口が天井になっていて…。
まって、どういうこと!?


なんで、こんなっ…。


なっきぃをゆっくり下ろして寝かせると
体の自由がきくようになって


重い体を起こしてみればそこに広がったのは


「…地面?」


コックピットの広い窓から見えるのは土の色だけ
そして、逆さまになった入口。


これは、もしかしなくても、不時着したに違いない。



ジャンプすれば届く位置。
腕の力だけで這い上がるしかないのは

一目瞭然で、とりあえず私はロープを探した。



「舞美ちゃん…?」
「愛理、大丈夫?怪我してない?」


探してる音で目を覚ましたのか
まだ、ぼんやりとしている愛理。


「うん…ん、ここ…どこ…?」
「わからないの、調べるためにロープを探してたんだけど」

「あ、ロープまだ積んでないよ」
「そっか…じゃぁ自力かぁ」




ほんの少しの出っ張りだけど大丈夫だよね…。
いける、私は出来る!!



「ま、舞美ちゃん!?危ないよっ」
「だ、大丈夫」



予想より体は軽い。
へばりつく様にドアノブに手をかければ


見えたのは―何色とも言い難いそら。




「とりあえず、ロープ探してくるよ」



下にいる愛理に伝える。
途端に、不安そうな顔できゃんきゃん喚くけど



「だから、みんなをよろしくね」
「ダメっ!一人じゃ流石に危ないよ!」


いつもはのんびりした愛理の素早い行動を見たのは
これが初めてで驚いてるともう、目の前に仁王立ちされていた。



「ほらっ、みんなが目を覚ます前に行こう?」
「…うん」


ロープを探そうにも、とりあえずは森を抜けないと
あるかどうかも怪しい。


森に入るといきなり見たこともない植物の群れ。
道なき道を突き進むしか手立てはないといえど少し怖い。

しばらく歩き続けていくとそこには小さな集落が広がっていた。



「愛理」
「…舞美ちゃん」


慎重に下りて、慎重に調査を開始した。



聞いたこともない言葉に震えがやってくる。
母国語でなくてもいいから聴き慣れた単語を聞きたい…。


このままは、いや。
どう足掻いたって、生きていくすべはきっとないだろう。

麻痺していた、そう。

私達の仕事はこんなに危ないこと。



「愛理っ」
「…リーダー」


安心させるように笑うリーダーはやっぱり
リーダーで心に明かりが灯るよう。



「別で行動は避けたほうが良さそうだからつたで代用しよう」
「承知、あそこのつたを使いましょう」



するすると身軽なリーダーは木をあっさりと上り
枝にかかるつたを切っていく。


それなりにとれたつたはハシゴみたいに縛っていく。
これなら、いつでも出入りできる。







ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





まず、目に入ったのは地面。
そして、開いた天井の扉。



「…おい、ナカジマ起きろ」
「…」



隣に転がるなっきぃをたたき起こす。



「おいっ!起きろってば!!」
「いたぁ!…え、なにあれ」


想定通りのリアクションに少し落ち着く。
冷静になれ、千聖。

ここはどこだ?
とりあえず分かるのは資料には載っていない惑星だってこと。



「リーダーと愛理は多分先に外に出たみたい」
「…無茶しすぎでしょ」



口を挟んだのはすこぶる不機嫌な舞。



「起きてたんだ」
「あんな大声出されたら起きるから」

「主席2人がなんであんな無謀なんだろうね」
「ほんとだよ」



なっきぃと舞が話している横で千聖は食料あさり。
もとい、ロープ探し。



「…ねぇ、ふたっ!」


上から振り下ろされるなにかに二人の腕を思い切り引っ張って
またしても三人で壁に体を打ち付ける羽目になった。


「いたた…」
「ちょっと千聖、危ないじゃん」


もちろん、非難たっぷりのその目線は見なかったことにして
今、つたのはしごを上っているであろう二人に声をかける。


「舞美ちゃん、愛理おかえり」
「「…」」

「ただいまー!」
「ちょっ!危ないって!舞美ちゃん」



ごたごたとしたけど
ひとまず、みんな揃って一安心。


千聖達の受難はここからが本番だったとは
この時はまだ、誰も知らずにいた。







つづく

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