ハロー王国    完結

□4話
1ページ/1ページ

森をぬけて谷を越えて。
私たちは国である。



【ある国の誓い】




会議は長時間なんの進展もしないまま
一時休憩になった。



「やっぱり、動かないね」
「うーん」



3人で話していると隣から同期国の3人がやってきて。



「驚いた、まさか℃が賛成派なんて」
「…でも、分かるけど」



みやとももで、ももは少しちゃかしてるけど
みやはやっぱり、聞いた一人だから


仲間を殺されたうちの一人だから


同じ気持ちだったみたい。




「おつかされさま、キャプテン」
「お互い様でしょ」



見ればキャプテンのほうもだいぶ疲労の色が見えていて



「でもさ、戦争しようって言う派としないで待とう派がちょうど
半々って決まりっこないよね」
「そうだよね…」


こんなに纏まりがなくて
守れるはずはない。



大事なものすらも、その両手の隙間から
こぼれていることも知らずに。





「そろそろ、時間だし戻ろう」




なっきぃの言葉についていくのが精一杯だった。






−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−



ざわつく会場を押さえてくれたのが退任したはずの
高橋さんだった。



「わかった…わかったやざ」
「愛ちゃん…?」



退任しても、いざってときは力を合わせるこの国は
とても、心強い。



「こんなんで決まるはずがない」
「…」



高橋さんは私たちを見た。



「今回の発見と調査はベテラン組が行ってる
だから、決断はこの6名に委ねる」



そうして、決定権は私たちに託された。
皆の反応もそれならと収まり。


「リーダー」
「愛理」


なっきぃがこっちをみてくる。
べりーずはどうだろう



「6人で話し合う時間をください」
「もちろん、30分くらいで切り上げてくれると助かるんやけどね」

「善処します」



そうして、6人で席を外すことになった。
でも、私たちはみんな心は決まっていた。


ただの、確認だったから。



「℃-uteは賛成派だったよね」
「うん」

「ももは賛成で」
「うちも賛成」

「私は2人に合わせるつもりだったから賛成かな」



顔を見合わせる。
みんな、いい顔をしていて


人とはどんな顔をするんだろ。
私はまだ、敵意を向けた顔しか見たことがない。


でも、きっと…そんな顔しか見れないんだろうな…。





















「うん、わかったやざ」
「すいません」


文句を言う人は誰もいなかった
それどころか、待っていたとばかりに


大きな拍手が起きたんだ。



「よく言った!」
「絶対守ろうね!」



反対派だった人たちも私たちが言うのならと
快く賛成してくれて。




「じゃぁ、今日は解散と言いたい所やけど
能力者は居残りで解散」



そうして、会議はお開きとなった。



「どうしよっか」
「私たちはお団子やさんで待ってるよ」

「ちょっ、ちょっと…!舞美!」



そういって舞美ちゃんは佐紀ちゃんをつれて
飛んでった。




「…舞美は相変わらずだね」
「うん」


「本当に…うちのリーダーは…」
「舞美ちゃんらしいけどね」




主催席へ座った高橋さんが机をたたく。



「え…」
「び、びっくりした…」


「びっくりさせてごめんやよ…これから作戦会議を始めるやざ」




残った能力者だけでの会議が始まった。


「まずは、℃とBは状況報告」
「はい」



私たちが見たものすべてを事細かに伝える。



「思うより武器を持ってるんやね…」
「こちらが所持している武器と比べれば威力は劣りますが…
数では負けているかもしれません」




地図を取り出して里の位置の確認と探索部隊の政策をするとの事だった。




「大きな里やけど…ほかにもあると思って動いてほしい」
「はい」



詳細は各国に後日と言った高橋さんはどうやら本命の話に着いたらしく
雰囲気が急激に冷たく重くなっていく。



「さて…ここからが本題やざ」



ごくりと皆の息を飲む音がする。
私も例外なく手にすごい汗をかいていて。



「人間はあなどれんと分かっていると思う…
特に調査をおこなってくれていたB&℃は」

「「「「…はい」」」」



高橋さん、何を考えてるんだろう…。
顔が…怖い。



「…滅ぶと確信したときは皆でこの国を飛ばすやよ」
「え…で、でも」



なっきぃが震えた声を出してハッとした。
なに、このやな震え…足が震えてうまく立ってられない



「あ、愛理っ!」
「ご、ごめん…」


なっきぃに肩を貸してもらって気づく
なっきぃも手が震えて力が入ってない。

私だけじゃないんだ


きっと、皆怖いんだ



「高橋さん、飛ばすほどの力なんて私たちにはありません」
「うん、だから皆をあつめたやよ」



ももの発言に皆の視線が集まる。



「べりきゅーはベテランだからわかるんやよね?だから愛理ちゃんが
腰を抜かした」
「…はい」



皆が高橋さんを見る。
…嫌な緊張が走る



「たとえあーしたちが死んでも
国は滅ばせてはだめなんやよ、意味わかるよね?」



無言が続く。



「もちろん怖いとか逃げたい人は無理にとは言わない
明日の報告書につける紙に参加を希望するものは丸をそれ以外は白紙で
提出してほしい」




そうして、高橋さんがまた机を叩き皆がビクッとする。




「これで、大会議は終了とするやざ!皆、解散!おつかれやよ〜!」





こうして、呆気に取られたまま
緊急大会議は幕を閉じた。



「ほら、愛理帰ろう」
「う、うん」



なっきぃに手を引かれて部屋を出る横で
あれは、モーニング騎士団のエースと呼ばれる子だった。





「高橋前団長!」
「どーした?」



きりっとした横顔に
しゃんと伸びた背筋。



「私は…私は騎士団ウルトラ部隊所属、9期生。鞘師と申します!」
「ほー新人の鞘師が大きくなったのぉ」



頭を撫でようとする高橋さんの手をかわし
まっすぐな目で訴えかける。




「愛理?」
「…」

「ん?あ、あの子モーニングのエース」
「うん」




「私はもう子供ではありません!今回の…作戦
紙で書いて提出するまでもありません。私は騎士団に入団した時から
覚悟をもち訓練に励みました!!」
「鞘師」

「高橋前団長に作戦参加の申し入れをお願いいたします!!」
「鞘師、少し落ち着いて」



「鞘師は死ぬ意味生きる意味を持ってるん?」
「い、生きる意味ですか…」


「そう、生きる意味死ぬ意味がわからんうちは許可はしない」
「そ、そんな…!」



やっぱり、高橋さんは優しい人なんだな…。
これが…この国の伝統なんだと思うと少し暖かい気持ちになった。




「ほら、愛理いくよ」
「うんっ!」


こんな時だからこそ、明るく居なければいけないよね。
ただ、なんとなく舞美ちゃんに会いたくなったんだ。








つづく

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ