ハロー王国    完結

□3話
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私たちは戦わなければいけない。
平和を願うのはすべてを終えてからなの。


【ある国の決断】




人の里を見つけて数分で私たちの国へ飛んだ。
大発見と共にきっと大会議が緊急で行われる


その決断を私たちは無下には出来ない。



「愛理…?」
「やじ…」

今はまだ、4人で居るけれどももとみやはそろそろ入り口に向けて
少し歩かないといけないからお別れ。


「愛理、あんまくらい顔すんなよ…大発見だったんだからさ」
「もも達だって戦にならないように頑張るからね」


ももとみやが一言ずつ背中をかるく叩きながら
心配するなと言ってくれたんだ。

あの2人らしい、心遣いにぽっと花が咲いたようで
舞美ちゃんをみると舞美ちゃんも少しほっとしているようだった。




「私達も帰ろう?」
「うん」



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幹部メンバーは集められ
国会緊急会議が開かれた。



「すごい…こんなのって…」
「人の習性をこんなに書き残せるなんて…」


みんな浮かない顔。
でも、一人真剣な顔をした剣士が居た。


「大発見だけど、このデーターが本当なら戦争になるね」
「…明日にでも緊急大会議が行われると思うよ」


なっきぃと千聖は冷静だった。


「野蛮すぎて…舞怖い」
「大丈夫…きっと大丈夫だよ戦争になんかならない」


舞の背中をさすってあげていて
ふと、気づく。


国のトップであり、今回の調査で人間に多くかかわった
舞美ちゃんが一言すらも発していなかったんだ。



「明日、大会議も開かれるだろうし…今日はお開きにしよう」


そう、言い放って部屋からやじは出て行ってしまった。


「うん…後でやじに話し聞いておくから今日は解散で」
「「「ラジャー」」」




ベットにダイブする。
久しぶりの感覚に思わず顔が綻ぶけれど


舞美ちゃんの元気の無さに心当たりがあったの。



舞美ちゃんはきっと聞いてしまったんだと思う。
力がないといいながら、実際はいろいろ持っているリーダーだから。


『グレーのならず者共』


私達は人間にそう…呼ばれているのだと知ってしまったんだ。





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コンコンとノックをする。
少しすると少しこわばった顔のリーダーが出てきた。


「お疲れのところ悪いんだけど」
「気にしないで…用があるんだよね?」


中に入れてもらい、お茶の用意をしているリーダーを見ると
長い話になるのかな…?


ソファーに座り対面でしばらく無言が続く。
こんなに重い空気本当に久しぶりすぎて


重すぎて今すぐにでも出て行きたい…!



「…なっきぃにはすべてお見通しって事でいいんだよね?」
「あの報告会でやじと愛理がなにか隠してるって事くらいしかわかってないけどね」


顔が怖いです矢島さん。
私、なかさきちゃんに戻る勢いで怖いです。はい。



「なっきぃ…ごめんなさい!」
「え?」


あまりに唐突で頭が追いつかない。
ナカジマ!しっかり!!


「な、なにが…?」
「先に謝っておく…明日、私はなっきぃにきっと賛同できない」



それって…!!


「やじは戦争する気なの!?」
「…」


下を向いてまるで返答が無い。
こぶしを握り締めているのでなにかあったのだと

察せれる程度でしかないナカジマの力では
きっと…なにも変える事なんか出来ないんだと思う。


明日…調査に行ったBのみやとももちゃん
そして、℃からはリーダーと愛理が出席必須となっているから


明日聞けるだろうけど…なんだか
今、把握しとくべきな気がして…。


「リーダー…とにかくしっかり休んでおくんだよ」
「…ごめん…ありがと、なっきぃ」


弱弱しい笑顔で私を見つめる。
ナカジマはそんな顔をさせるために来たわけじゃない!


「明日、決まり次第迎えに来るから」
「うん…おやすみ」



そう、やじの弱った状態を見ない振りして部屋を出たんだ。
それが間違いだったのか、何なのかはわからない。


ただ、危機感に駆られて、ナカジマは愛理の部屋へやってきた。
愛理ならきっと教えてくれる。


知らなくてはいけないこと。
あの子はまだ、余裕があったから。



ドアに手を当てる前にガチャっと開いた。


「待ってたんだ…入って」
「うん、お邪魔するね」


愛理は能力がある。
みな、国の者は能力があるけれど

身体能力として宿るか
もしくは、こうして不思議な力となるかは


それぞれの特性を見て決まるらしい。



「舞美ちゃんは…話さなかったでしょ?」
「…うまくはぐらかされちゃって」



お茶を口に含んでいたかと思えば、いきなり
核心を突き始める。

それは…時間がないということ…?



「報告をいくつかできていなくて…」
「隠さなければいけないほど大きな事なんだよね?」



強く、うなづいた。
愛理は強い。


きっと、見たくないもの
やじと同じものを突きつけられていたはずなのに。



「一つ目は、人間は私たちのことを知ってた」
「え?」


一瞬、耳を疑う。
何を聞いても驚くつもりは無かったけど


「グレーのならず者共って言っていたのを舞美ちゃんも
聞いちゃったんだと思う」
「グレー?」


「そう…だから、人間は私たちを見たことがある…私たち以外で」
「ごめん、愛理。頭が追いつかない」


愛理が突然翼を出す。



「みやが飛んでくれて…翼を出していたの、こうやって」
「うん」


結局、何が言いたいんだろう


「この色…人間の間ではグレーって呼ばれているの」
「え?…えぇえ!?」


それって…!
つまりは、敵…。


「栞菜やえりかちゃん…それにめぐは
この人間の里へ来たことがあるって事がわかった」
「愛理…?」


ぎゅっっと愛理はひざを抱える。
頭を落として、声すらも小さく、微かに響く。


「決定打は…ももだったの」
「もも?」


顔を上げた愛理は静かに頬に流れる雫をそのままにした。


「ももが見てくれたの…そして、私は声を聞いた」
「その、声をやじも聞いていた…って事?」


また、顔を下げてしまう。
その動作で落ちる涙がただ、悲し程綺麗で。


「そう…だから、きっとやじは明日の会議、戦うことを選ぶはず
それほどまでに…人はとても野蛮だった…」
「そっか…ありがとう、愛理」


落ちきった頭を撫でる。
ナカジマに出来るのはこのくらいだから。


「明日、会議だからそろそろ戻るね」
「うん」

「疲れてるはずだから…ゆっくり休むんだよ」
「…うん」


頭にある手をそっと下ろす。






ドアノブに手をかけたところだった。


「なっきぃ」


芯のあるいつもの愛理の声がして。



「私は私で居る、だから私は嘘はつかない」
「愛理…?」


振り返って見えた顔は今までのどの顔よりも輝いて居て。


「私は舞美ちゃんにすべてを預ける」
「…ナカジマも同意見、おやすみ愛理」



ドアを閉めるときには笑いながらおやすみ〜って
ふにゃふにゃした声と顔で…。

やっぱり、愛理は強かった。
心配に…なるほどに。






「「なっきぃ」」

資料をまとめるために部屋に戻る途中。
千聖と舞に呼び止められて。

「二人とも寝なくていいの?」
「うん、資料作るんでしょ?手伝うよ」

「舞も手伝うし」


嵐のように部屋に連れて行かれ
わいわいがやがや、一晩中騒がしかった。
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