ハロー王国    完結

□2話
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安全な国を出てから3時間がたった。
四方八方には敵。


まるで、四面楚歌。



【ある国の冒険】



たった、三時間。
されど、三時間。


こんな近いところで人間にあってしまった。


人間は戦う服をきていて
ライフルと呼ばれている長い武器を持っている。



「どうする?ワープする?」
「まだ、全然来てないのに…」


行ったことない場所は出来なくても
その場から逃げるための能力くらいある。


「命のほうが大事だよ」
「うん」



愛理が小さく呪文を唱えると
視界がグラつく。




魔法が使えるのが私たちと人間の違い。
それでも、世界を変えるほどは出来ないし


選択肢の一つに過ぎないのかな。





「え…愛理…」
「…ごめん」


ふと、目を開けるとさっきと変わらない。
一面に木が生い茂り熱帯雨林って所。


「あれ?人間が居ない!」
「え?…ほんとだ」


どうやら、助かったけど…。
ここはどこだろう…。



「とりあえず、高い木を探そう」
「うん!」


私は魔法力が高くないからいざって時は魔法力の高い愛理に頼るしか
なくなるのだけどせめて、出来ることを探した結果がこれだった。



「こ、こわいっ」
「大丈夫だよ、落ち様がないから」


愛理を背中にくくりつけて木へ上る。



枝をひょいひょいと駆け上る。
縄でしっかり固定してるから落ちようはないはずだけど


勢いがよすぎて怖いらしい。



「わぁ〜きれーだねぇ」
「そうだね…あ、あった!」

「ほんとだぁ〜」
「どうする?このまま、進む?戻る?」



背中側から愛理の息遣いが直接伝わってくる。
なんだろう…?


ぞくぞくする。


「まだ、装備的には平気だし…せっかくだから進もう?」
「そうだね!少しずれちゃったから修正しながら歩こっか」


そして、ずざざざっと降りる。
行きよりもしっかりつかまって来る愛理がなんだか可愛かった。



「舞美ちゃんはさ」
「ん〜?」


地図に現在地を記入していたら少し上から愛理の声がした。



「魔法なんか使わなくても十分にすごいよね」
「え?そんなことないよ、愛理の魔法にすっごく助けられてるし」


「そうかな…だったらいいんだけど」
「そうだよ!あ、そろそろご飯にしない?」











近くの川で魚を取って(殆ど舞美ちゃんが一人で)木の枝に刺さった
魚を焚き火にあてる。


「わぁ〜おいしそうだねぇ」
「うん」


魚を頬張りながらそれでも、一応周りをきょろきょろするやじ
国の近くだと分かっただけで現在地はつかめていないから

当たり前だといえば当たり前なのだけど



やっぱり、ご飯の味も何故だかしないんだよね。




「あいり、大丈夫?」
「ん?うん…なんで?」


はっとすればやじが目の前で心配そうな顔をしていて
あれ、私そんなにぼーっとしてたかな…。


「なんか、辛そうだったから…魔法沢山使わせちゃったし…
疲れたよね、少し休もう?」



別に、辛くはないけれどそう見えたのはやじが心配性だからかな
お言葉に甘えて今日は休もうかな。



「……」


私が横になってから少し経った頃。



まるで寝る気配のないやじ。
それどころか、横になる事すらしない。


舞美ちゃんを寝かすために少し体を起こしたところで
草むらからがさごそと音がした。



「あいりっ!後ろに来てッ」
「う、うん」


舞美ちゃんの後ろへ隠れると顔を見せたのは
ももとみやだった。


「な、なんだ…驚いた」
「ももたちはなんでこんなところに?」


腰を抜かしたやじを座らせてくれたもも達に感謝の言葉と
疑問を問いかけた。


「あーそれなんだけど」
「?」


「この辺はね、海岸沿いなの」
「ん?うん」

「舞美たちの提出した進路表からだと…ね?だいぶずれてる」
「こんなにずれてたんだ…」


現在地をももたちのおかげで確認出来たけど
分かっても、あそこまで戻るので計画日数を使いそう。


「舞美ちゃん、どうする?」
「うーん…」


すっごく考え込んでるけど、なんだか答えは
分かってるんだよね。


「戻るのは無駄が多いから…このまま進もう」
「うん」


そうと決まれば一度立てた計画を変えるための話し合いが始まった。
同じ進路だからももたちと合流って形で今回の調査は楽しくなりそう。




剣とか携えてるし。
もし、会ってしまえば人間を殺めてしまう事も

しなければいけない。


自分たちの居場所を守るため。


それは、やるかやられるか。
好奇心旺盛な人間からの防衛なんだと何度も聞かされた。









あれから、一月近くが経過していて
思った以上に険しい。


争いはしたくない。
けど、野蛮に磨きをかけた人間という生き物は


すぐに争いを仕掛けてくる。



「もも!後ろに走って!」
「みやだって横に飛んで!」


人との争いですっかりボロボロになっていくけど
まだまだ、進まないと帰れない。



「もう、無理でしょ…人の住処を見つけるなんて」
「…うん」


「こんなことしてたら…殺されちゃうかも…」
「ここまで来て諦めるの?こんなに人間がたくさんいるのに!?」


珍しくももが力説していて
でも、確かに人を見たのは初めてだったけど


それが数日前から戦前と化していた。
それは、人の里が近いことを確かに指し示している。




「正直、ここまで攻撃されるとなると…本当に戦争になるよ」
「…」


みんなが静まる。
誰だって戦いたいわけではないし


けれど、任務は人の里を見つけ報告することだった。



「里の位置だけでも知れれば帰れるのにね」
「夜は?夜なら人は寝る」




こうして、昼は隠れ夜に里を探す怪しい集団になった。



「もう、あと3日分もてばいいとこだね」
「にしても、こんな夜まで行動してるなんて…」


ももとみやのかみ合わない会話を尻目に歩き続ける。




「あった!!」
「ちょっ!しーっ」


舞美ちゃんの声とみやのあわてた声で
周りを見渡すと確かに大きな人里が。


地図に位置を書き込む私ともも。
ワープで少しはなれた所まで戻る。



「ありがとう、愛理」
「うんん…それよりどうする?」


「とりあえず、戻る」
「そうだね」


少し険しい顔で伝える舞美ちゃんには
私には見えない何かがみえていたのかもしれない。




つづく

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