ハロー王国    完結

□1話
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深い森の奥に小さな国がありました。
それは、人とは呼べない者たちが集う小さくてけれども


大きな国でした。



【ある国の一日】


そして、その国の代表は国ごとに人数が違います。
私はその中の一人、ナカジマと呼ばれるもの。


この地域を出ると途端に人の集う汚らわしい場所。




―――℃会議室




「次は誰が行く?」
「ベリーズはみやが行ってくれたから℃からは…」


書類に目を通して難しい顔。
これは、すごくめんどくさくて長引くのが目に見えている。

ベリだって決めるのにだいぶかかっていた。
来たのはみやとももだった。



「私が行くよ」
「舞美ちゃんっ…!」


さすが、頼れるリーダー。
あとは、もう一人で決まりだけど…ざっと見渡しても
顔が引きつる私たち。



「わ、私もいくっ」
「あいり?でも、あいりの体じゃ」

「いいの…舞美ちゃん一人につらい思いさせられない」
「あいりっ」


そして、ハグ、ハグ、は、ぐ。



惚気はご自室で願いたい。



まぁ、大体、リーダーが行けば愛理が行くし
千聖が行けば舞が行く。


なぜか、私は司令塔とか呼ばれるようになり。
上手くまとまっている。



「じゃ、道重さんに報告してくるね」
「うん!ありがと、なっきぃ!」



道重さんとはもう、だいぶ長いお付き合い。
モーニング国をまとめる国長さん。



この国には6つの国がありそれぞれに特色がちゃんとある。



℃は一体感ある少数の国 

beryyzは技術面では右に出るものはいないけれどとにかく自由な国 

モーニングは国長が切り替わる、替えがきく恐ろしい国 

スマ 一時期最強になりかけたけど滅んで再建した国 

J=Jは最近研修国から出来上がった新しい国だけど実力共にかなり優秀で
未知数の国 




そして、最後。研修国
新しい国か現在ある国に放り込まれる人たちの集まり。


うちの栞菜もここから来た。
じゅーすもここからだし、国というか研修施設。





−−−−−−−−−−−−





木のトンネルを通り少し暖かい南国。
モーニングへやってきた。


「こんにちはー!道重さんいますかー?」
「おまたせー!遥遥ご苦労様なの♪どうぞ、あがって」



モーニングの会議室に案内され、資料を渡しながら軽く世間話。



「いろいろ、大変だけど…最近はここも人間に見つかりそうなの…」
「ですよね…」



私たちが自分たちの国からこうして出なければいけないのは
調査の為、そして、武器の材料調達のためだった。




したくない、怖いけど、きっとみんなが迫害されていくほうが
もっと怖いはず。



「早貴ちゃん?大丈夫?」
「大丈夫です、そろそろお暇しますね」



席を立てばささっと玄関まで送ってくれる。
隙がない。



「お疲れ様でした、また来月お邪魔します」
「うん、お待ちしてるなの」



ニコニコと可愛いしぐさで見送られて流石な振る舞い。
あの、モーニングを仕切るだけの器なんだなと実感。



モーニングに行くには木のトンネルを抜ける必要があって
一キロほど続くちょうど中間地点に海へ抜ける出口が見える。


大体、高確率で行くとやじがいるから、帰るときは呼んで一緒に帰るのが
定番化してきていた。




「あ、やじー!」
「なっきぃ!おかえりー♪早かったね」


ニコニコと上がって走ってきたリーダーはやはり、どこか犬感漂う。
そして、ふとした違和感に気づく。


「そういえば、愛理は?」
「あ…うん…」


一気にテンションがおちるリーダー。
え、なにがあったの??



「資料が風に飛ばされて一緒に拾ったんだけど…足りなくて
明日持ってく大事なやつだから大慌てで作ってる」
「珍しい…リーダーは手伝わなかったの?」



そうきくと、さらにしょんぼりして



「前に壊したから、邪魔にならないように海に来たの」
「なるほど、そっかーじゃ、そろそろ帰ろっか」

「そうだね!」



木のトンネルに戻って歩いていくと
リーダーが伸びをしながらついてくる。



「んー!やっぱこの道気持ちいいよね〜」
「そうだねー」


「そろそろスライダーにつくよ」
「おっ!早く行こう、なっきぃ!」



これにのらないと帰れない。
一人で乗るならまだしも、この大型犬と乗らないといけなくて…。


こんな深い谷を越えるのは難しいから乗らなくてはいけなくて
で、でも…。


気がつけば、しっかり装着させられていて。



「へっ?」
「よしっ、準備完了!」



はっと、した頃にはもう空中を舞っていた。



「ぎゃぁぁあああああ!!」
「なっきぃ、落ち着いて。大丈夫だから」


やじにこれでもかというほどしっかり抱きつき。
周りの風景を見えないようにする。



頭をひとなでされて、そこからぐわんぐわんと変な動きをして
到着した。



「もうっ!この犬!死ぬかと思ったでしょ!!」
「いぬ?大げさだな〜なっきぃは」


へらへらとしてる犬(もといリーダー)を軽くグリグリ


「へっ、いたたたっ!」
「まったく…ほら行くよリーダー」



門をくぐり国内へ入るとやっぱり安心する。



「あ、そういえばね」
「ん〜?」

「あさっての午後から大会議だから、忘れないようにね」
「あ、そーだった」



やっぱり、心配です。






大会議とは5カ国が集まり報告しあう
定期会議のひとつ。

大体リーダーサブリーダーの二名が出席する。




―――森湖城




大会議の会場は6つの国の真ん中にある
大きな森の中にある湖の真ん中のお城で行われる。


「いつ来ても、いい景色だよね♪」
「そうだね…」

「なっきぃ、ほら、あれみてー」
「やじも少しは資料に目を通しておいてよ」


そういっても、返事だけで入り口できゃっきゃ言う。
半年に一回はあるんだからそろそろ慣れてもいいと思うんだけどな。


「ほーら、明日には発たなきゃいけないんだから今一番必要な情報だよ?」
「分かってるって、ほら、会議室いこっ!」



本当はすごく心配だけど腕は相当立つから…
愛理も居るし…でも、外域調査のたびにすごく不安になるんだよね。


それは、千聖や舞にも適応するけど…。






$$$$$$$$$$






「…それじゃ、今回からの外域調査はかなり危険になるってこと?」
「そういうことになるね」


真剣な話し合いが続く。
明日からうちとべりが発たねばならないから余計に絡んだ話が多い。



「ってわけなの、だから℃とBは今まで以上に気を引き締めて望んでなの」
「「わかりました」」



「ねぇ、なっきぃ」
「ん〜?」


会議が終わって荷物をまとめてる時にだいたい邪魔されて
帰るのが遅くなるんだけど珍しくおとなしいリーダー。


「帰りに町によって帰ろう?」
「いいよ」


本当に珍しい。
おとなしいというより元気がない。


「リーダー?」
「な〜に?」


「どうかした?」
「…なっきぃはさ」


なにこの、シリアス展開。
ナカジマはどうすれば…!


「な、なに?」
「もし…あ、もしだよ」

「うん」

「もし、私たちが帰ってこなかったら悲しい?」
「へっ?」




話が飛んでついてけないんですけど。
え?どういうこと?


「調査、自信ないってこと?」
「そういうわけじゃないけど…」


いやいや、そういうことですよね。


「泣くよ…リーダー、約束して」
「ん?」


小指を立てて


「愛理と一緒に必ず帰ってきて」
「うんっ!」




小指を絡ませる。
この国伝統の約束という誓い。


「まだ、会ったことないけどさ、人間怖いなってね」
「そうだよね…」


「わくわくもしてるけど」
「うん」




ついさっき、すっごく真剣で切羽詰った見たこともない顔をしてたけど
お団子をほおばる姿はいつもとかわらない。


腰に刀を携えた姿はとてもかっこいい。






−−−−−−−−−−−−−−


書類に目を通していると、コンコンと音がした。


「なっきぃ?入るよ?」
「どうぞー」


入ってきたやじと愛理はすっかり旅人として出来上がっていて


「じゃー外域調査行ってきます!」
「行ってきます」


「二人とも…死なないでね」

「「もちろんっ!」」


二人で顔を見合わせて笑っていたけどなんだか
不安なんだよね。



仲良く二人は国を出たと報告を受けた。





この調査を終えた瞬間から酷な選択を迫られるとは
まだ、このときは思っていなかった。




つづく

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