お題

□なみだ
1ページ/1ページ

やっぱり、私達が身を置いている世界は
とても残酷だった



【泣けない泣かない、泣きたくない】



私が居る場所は芸能界のモーニング娘というダンスと歌に関しては
トップに君臨し続けているグループだった


トップに居るって事はやっぱり、とてつもない練習があり
それが終われば出来ていないところを宿題で完璧にしなくてはならない


同期に能力の塊で努力をおしまない
鬼才の高橋愛

後輩に天才のバランスがとてもいい6期
3人組



プラチナと呼ばれる今はとにかくレベルが高くて
ついていくのがやっとな時がある


正直、先輩の私がこんなんじゃ駄目だろって思っても
どうしても出来なくて遅れをとってしまい


今日のレッスンは駄目だしの嵐だった
悔しくて終わったと同時にレッスン場を飛び出した


今にも泣きそうで
でも、泣きたくなくて

もう、限界まで達してる涙が零れ落ちる

とにかく、泣くのがやだった


トイレに引きこもって
嗚咽を必死に抑える


そんな私は足音に気がつかなかった

『ガキさん?』
「…」

『ガキさん、居るんやろ?』
「…あいちゃ」

『無理しなくていいんやで』
「…でも」


『あんたが泣くの嫌いなの知ってるから見ない
だから、安心せぇ』
「…ヒック、えぐっ」


愛ちゃんの優しさがまた私の涙腺を決壊させる
でも、うれしくて扉に背中をつけた

そしたら、音がしてどうやら愛ちゃんも背中をドアに預けたようで


『あんたは頑張ってるあーしは知ってるからちゃんと見てるで』
「うん」


『だから、あんま自分いじめちゃあかんで』
「…ありがと」


ドア越しに愛ちゃん特有の笑い声がした
声を聞いていたからか愛ちゃんが恋しくなって


さりげない優しさをくれる愛ちゃんが
支えて支えられてそんな関係がいとおしくて


泣いていたのにドアを開けて倒れて来た愛ちゃんを
後ろから抱きしめた



『うわっ!ガキさんあ、あぶなっ』
「愛ちゃん、大好き」

『ガキさん?あーしも大好きやよ〜』
「ありがとう」


くるってこっちを向いた愛ちゃんに真っ赤だと冷やかされ
そんな、愛ちゃんも真っ赤じゃんかと突っ込んだら


また、あひゃ〜っと笑った

『ガキさん、一緒に帰ろうか♪』
「うん」


月が見える今夜私達は手をつないで帰った

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ