℃-uteマンション

□℃-uteマンション 3
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私達は普通じゃないんだと知るには十分なくらい

現実は問題が山積みだった。


【℃-uteマンション 3 前編】



えりか視点



愛理の話を舞美に聞いてから
少したったある日のこと。


あの日から分かりづらいけど
舞美は難しい顔をするようになった。

本当に、わずかな変化だけど


「稼ぎ場が近くなって楽になったね♪」
「そうだね、ありがとえりかちゃん」


ニコニコと今日の稼ぎ当番の愛理と栞菜に話しかけられる。
たまたま、出れないメンバーが居たからいけるメンバーを集めただけだけど。

めぐは熱を出した早貴を見てくれるので
家で待機。

千聖は買い物へ(半年に一度の特売の為)


演奏を始めてそこそこ経った頃。

広場に、そこそこ人が集まって来た。
今は愛理と舞美が栞菜のギターに合わせて歌っている。


ふと、見ると舐めまわすような視線を送る人物が2人
嫌な予感がした。

その2人はこそこそとなにかを話しながら
帰っていった。


「ま、舞美」
「えり、愛理をつれて逃げて!」

「ま、舞美ちゃん!?」
「え?え?」

「はやくっ!」

そういった、舞美から愛理を預かった。
切羽詰った顔をして走っていってしまった。

追いかけようと走り出したら
栞菜に腕をつかまれて真剣な顔をされる。


「栞菜…」
「一回、帰ろう」

「で、でも」
「ここに居るのは危ないよ」

そういって、栞菜がうちと愛理の手を引いて
走ってく、必死に家までの道のりを遠回りして

変なところを入って、なんでこんな帰り方をするのか
分からないけど、ここは栞菜に合わせるしかなかった。



家について、雰囲気を察したのか、めぐや帰ってきたばかりらしい
千聖に赤い顔した早貴が近くへやってきた。

「…なんかあった?」
「…ごめんなさい…」

「愛理は悪くないから」
「どうしよっ…舞美ちゃんが」

「とりあえず、一回落ち着こう愛理?」
「…うん」


泣きじゃくってしまっている愛理を
慰めているというか現実を言っている栞菜


うちは、なにがなんだか現状が把握できなかった。
さっぱり頭が追いつかない。


「えりかちゃん?」
「へっ?」

「大丈夫?」
「う、うん」


今、うちに出来るのは現状を把握して
適切な判断をすること。

そしたら、やることはひとつしかない。

「愛理…怖いかもしれないけど知ってることはなしてもらえないかな?」
「……うん…」


ポツリポツリと話し始める。
舞美が話した事は一部だった事もよく分かった。


大事な部分を抜いて話してたんかいって居たら
頭をはたいてやるところだけど、話を聞く分に


舞美のしていた心配やあの難しい顔の
原因は分かった。

そして、すべてを背負ってあの子はこの世から消えようとしている。
愛理の話を聞けばすぐにそう思える状況だった。


「たぶん、舞美ちゃんはつかまって…酷い目に合ってると思う」
「…」

「私は、明日助けに行く」
「何言ってるの、愛理だけには行かせないから」

いたずらな笑みを浮かべた栞菜のこの前向きは本当に頼りになる。
ただ、刹那的な行動をするところがあるからちゃんと見てないと危ない。


「舞美ちゃんと会ったら皆でハグしてあげようね」
「その前に、たっぷり叱ってあげなきゃ」

早貴の言葉に皆がうなずき
うちが言った言葉に爆笑が起きたけど

もちろんって声が上がってくる。
その夜は、何故か眠れなかった。
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