℃-uteマンション

□℃-uteマンション 2
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ここへ、引っ越してきてから大分時間も経ち
町へ出て、芸をしてお金を稼いでいる。

歌やダンスに楽器を使った生演奏もしている。
順調そうに見える日々の中に黒い影が迫っていることを

私達はまだ知らなかった。


【℃-uteマンション 2】


えりか視点


最近、町へ出ると愛理の様子がおかしい
どんな?って言われると困るけどおかしいのだ。

なんだか、怯えてるようにも見える。



「今日はだれが買い物行く?」
「あれ、今日誰だっけ?」

「愛理とえりかちゃんじゃんやだな」
「そうだっけ?(苦笑)、じゃーいこっか愛理」

千聖に言われて愛理のほうを見ると真っ青な顔をして
俯いている。

様子が変どころではなくなってしまった。


「愛理?大丈夫?」
「…」

「あいり〜?」
「…だ、大丈夫…」

舞や栞菜が声をかけるも虚ろな目をしている
うちが慌てて言葉を発したら難しい顔をしていた舞美がかぶって来た。


「あ、あい「今日は私とえりで行くから愛理はみんなと帰りな?」


皆、心配だったんだろう
愛理がうなずく前にみんなで連れて行った。

「ま、舞美?」
「ん?さぁ、いこ?」

ニコニコと手を引いてくれる舞美になんだか
感じたことない雰囲気を感じたのは何故だろう。

スーパーについてうろうろしてるうちに
いつもの舞美がいた。


帰り道

「ねぇ、えり」
「ん?な〜に〜?」

「場所を変えない?」
「場所?」

「うん」
「この場所やだ?」

「へっ?」
「え?なんの場所?」

「稼ぎ場所を変えたいんだけど」
「あそこじゃいや?」

「…そういうわけじゃないんだけど…」

そういって、苦虫を噛み潰したような顔をした舞美を
問いただしてみた。


「舞美、何を隠してるの?」
「…隠してはないよ?」

「…うそついたらお仕置きだよ?」
「…うっ、それは…」

「……」
「舞美、そんなに信用ない?」

最終手段だった。
こんな、言葉使いたくないけど

私達は、生きてきた環境もなにもぜんぜん違うから
隠していて命取りになることもある。


皆と、ずっと居るためには嫌でも話さなきゃいけないこともある
それを、舞美も分かっている。

「信用してるにきまってるじゃん…」
「うん、ごめんね」

「私こそごめん」


すこし、黙ってしまったけど
舞美はぽつりぽつりとこぼし始めた。


要約すると

愛理は良家のお嬢様だったけど
両親が事故にあって亡くなってから

一番近くに居た部下に売られて
1年近くしてから逃げて孤児院へ転がりついた。



そして、さっき舞美は逃げてきた
組織の人間を見たらしい。

愛理もそれを見たから顔が青かったのだろう。
それは、さぞかし怖かったと思う。

悪い事をしたかもしれない。
でも、一番気になっていることがある。

「ねぇ、舞美…」
「ん〜?」

「なんでそんなこと知ってるの?」
「なんでって…私が逃がしたからだけど」

「舞美は…」
「違うよ…私は組織の人間じゃない」

そういって、俯いて苦しそうな顔をした。
聞こうとしたことを先に言われた上にそんな辛そうな顔されると

今してることを後悔しそうで、今は自分の気持ちを
押し殺したほうがいいかもしれない。

色々な疑問はあるけど
愛理が信用して一緒に逃げて

今も、一緒に暮らしているから
今は何も聞かずにいようと思う。

舞美から、話したくなったら聞いてあげよう。

「そっか、場所は変えよう」
「うん、ありがとう」

「かえろっか」
「うん」

少し泣きそうな顔をした舞美の手を引いて
皆が待っている、私達の家までゆっくり歩いていった。




めぐみ視点


舞美が愛理を渡して買い物へ行ってしまった。
愛理も青い顔をしてるから

よかった。



「ご、ごめんね」
「うんん、帰ろう」

4人は愛理の隣を歩いて
わさわさしながら、家までの道のりを行く。

家につく頃には愛理も大分元気になっていたから
一安心。

でも、たまに見せる舞美の冷たい表情がすごく気になる。
あの年齢であんな顔が出来るってどこで生きてきたんだろう…

特に、愛理を守ろうとするときに多い気がする。

あの2人は世間離れしてる。
舞も早貴も栞菜もわたしもそうだけど

あの2人はとくに感じる。

「めぐ、食べないの?」
「え?」

「おやつ、なくなっちゃうよ」
「ちょ、ちょっと、食べる!」


その後のおやつ戦争でばたばたして
くつろいでいた頃、2人が帰ってきた。


みんなで、ご飯を食べてお風呂に入って
布団で寝て。

朝が来る。

こうやって、すごせるなら
それはそれで、何も知らないほうがいいのかも知れない。

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