短編 ベリキュー(スパ)

□きゅーと 4
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目の前にはしょげてる愛理。



【きゅーと 4】



早紀視点


今日の撮影、午前中(午後3時まで)はリーダー不在。
自転車のロケで最初は私達だけでの開始になったのはいいけど。

実は愛理にはアレルギーがある。
今回の撮影はアレルギー源と接しなければならないため


愛理は待機。

のはずが…子犬を凝視してる愛理と目が合った。



「…駄目だよ」
「わかってるもん」


そんな、会話もあったけど
撮影の順番で抜けて帰ってくると


子犬と戯れている愛理と遭遇した。
千聖といっしょに戯れてたけど…



「こら!」

「うわっ、なっきぃだっ!」
「ご、ごめんなさい…」


私に気がついていないようだった愛理と千聖を叱りつける。
千聖は愛理のアレルギー知ってるんだから止めてくれないと!

なに、一緒に遊んでるの?!

ばれて、すっかり眉が下がってる愛理
少し咳き込んで苦しそうだから着替えさせて離れさせる。




「大丈夫?」
「うん、もう平気」

「…そんなに叱られたかった?」
「…私、叱られるの?」

「当たり前でしょ」
「…だよね」


大分、呼吸が落ち着いてきた愛理とそんな話をする。
愛理は前にも同じような理由で叱られてたはず


「前回さ…やじに同じような理由で叱られたよね?」
「…うん」

「そんとき、次、やったらなんていってた?」
「…言わないと駄目?」



愛理の悲願するような目で見られたけど
いつも、やじに厳しくとか言ってる私が折れたら

ニヤニヤと仕返しされるに違いない。



「だめ」
「…皆の前で叩くって…言われた…」

「…マジで?」
「…うん」
「…やじを待とうか」
「…」


凹みまくって涙目の愛理と目が合う。
可哀相だけど、命に関わる事だから懲りてもらわないといけない。


「…なっきぃがいい…お願い…舞美ちゃんやだぁ」
「…私でもいいんだけど…」




愛理に泣き付かれて、思わず折れそうになる。
まぁ、とんでもなく恥ずかしいだろうし。


気持ちは分からなくもないけど…
ここは、心を鬼にしないといけない気がする。




私じゃなく舞美ちゃんに叱られなさいと告げると
見る見るうちに涙がたまっていく。
千聖も責任を感じてるのか愛理を慰めてるし。





数時間後





到着したリーダーに愛理のことを報告する。

「って、事なんだけど」
「…呼吸とかは落ち着いてる?」

「うん、もう大丈夫」
「そっかぁ、それならよかった」


真剣な顔をしてたからピリッとするのかと思えば
無事だと分かるとすぐに安心した顔になった。


「…どうしよう」
「なにが?」

「前回の…そこまで言えば大丈夫だと思ったんだけどな」
「懲りなかったって事だよね」

「うん…一度、やってみようか」
「?」

「みんなの前で叩いてみる…」
「それも…いいかもね」


考え込んでるようだったけど
衣装に着替える前に終わらせるつもりらしく



すぐに楽屋に入っていった。






「舞美ちゃん、本当にやるの?」
「うん」

千聖がやじに質問してる後ろで青くなってる愛理

「ほらっ、愛理おいで」
「…」

「愛理」
「…うぅ」


放心状態の愛理をやじがソファまで連れて行く。


「や、やっぱり…やだぁ」
「前に言ったよね?反省しないと」

「…うっ、でも…」
「今日は折れないからね」


そんな事いいながらいつの間にか膝に乗せられて
スカートをめくられ下着に手がかかった瞬間の暴れ方がすごかった。



「愛理って結構、暴れるんだね」
「いや、あんなに暴れるの初めて見た」

「そうなんだ」
「それだけ、恥ずかしいんだと思うよ」


こそこそと話していたら
それをたしなめるかのような音がした。


ピシャン!

「いたいっ!」


最初の一発こそ声が出たけど
そこから、桃色に染まるまで一切声を出さない。

色は深くなって行く事に声も比例して大きくなる。


「すごい…千聖だったらもう泣いてるよきっと」
「…そうだね」

「…舞?」
「…」

ぼーっと固まって眺めてる舞に
話しかけてくる千聖


ピシャン

「ふぇっ…もうしないぃ」
「うん、そうしてくれないと困るなぁ」

ピシャン!

「…えぐっ…うえぇ」
「少しは懲りてくれるといいんだけどな」




本泣きに入り始めた愛理には小さく言った
やじの声はきっと聞こえてないだろう。




「…なんか見てるだけでお尻痛くなってくるね」
「うん」

「そうだね」


最後の五発って声がしてそこから
連打されて余計に泣きじゃくる愛理



「うわっ…舞美ちゃんこわっ」
「千聖っ、笑っちゃうからやめて」

って、相変わらずな会話を繰り広げてたかと思えば。




解放されて、やじに抱きしめられて泣きじゃくってる
愛理を無言で眺める2人




「やじ、愛理寝かせて」
「はーい」

「愛理、大丈夫?」
「大丈夫?」


流石に、心配してる2人に苦笑いしか返せない様子の愛理。

冷水で、きんきんに冷やしたタオルを絞って
真っ赤な愛理のお尻へ乗せる。


「やじも、冷やしたほうがいいよ」
「ありがと!」

愛理の頭を撫でていたリーダーにも同じタオルを渡す。




そして、私は釘を刺す。

「千聖もやりすぎたら皆の前でお尻叩くからね」
「えっ…マジ?」

「まじだよ」
「やだなぁ」


「やじっ、衣装っ!」
「あっ!やばっ、愛理よろしく」

ばたばたと行ってしまった。


まだ、お尻をさすってるけど服を整えた愛理に
舞がべったりくっついている。


「これに懲りたらいい子にしてなよ?」
「うん…そうする」




千聖はいつもとかわらず
愛理をからかって遊んでいた。


「いっ!千聖!」
「な〜に〜?」

「もうっ、最低」
「ほんとだよ」

「ちょっ、舞ちゃんまで…」


いつも味方の舞が愛理側だから
撃沈させられた千聖に苦笑を浮かべてるやじと目が合って


その笑顔がすっごく優しくて
これなら、℃-uteはいくらでも仲良くやってけると


確信した瞬間だった。

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