短編 ベリキュー(スパ)

□べりーず2
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今日は少し早めに現場について
少し、考え事をしていたら2番に入ってきたのは

悩みの元凶、ももだった。


「あ、おはよう、はやいね」
「おはよ、早くついちゃって」

「もも、二番乗り?」
「そうなるね」

「いぇーい♪」



はしゃぎながら、かばんを下ろして
上着を脱いで楽屋から出て行った。

ももは基本的にすぐに楽屋から居なくなるから
いつものことなんだけど。


最近はどう見ても顔色も悪いし
日に日にやつれていってるのが目に見えてきてる。


「もも遅くない?」
「そうだね、探しに行こうか」

「そうだ「いいよ、私、呼んで来るから」」
「え?で、でも」

「いいの、それより、早く衣装に着替えてよみや」
「ちぇっ、はーい」


そういって、衣装に着替えに行ったみや


私はももを呼びに行く。
いつもは、30分前になると帰ってくるんだけど


しばらく、探し回って見当たらなくて
なんとなく、階段を登っていった。

少し広くなっている踊り場みたいなところで
桃がもたれかかってぐったりしていた。

「ももっ!」
「…」

「もも?!大丈夫??」
「あ…佐紀ちゃ…」


儚い笑みを浮かべてゆっくり立ち上がって
私にお礼をいった。


息が上がっている
これから、ダンスを何回かしなければならない。


「もも、無理なら日にち変えてもらおう?」
「大丈夫だよ、迎えに来てくれてありがとね」


そういって、さっきまでのももがうそみたいに
階段を軽い足取りで登っていった。


楽屋に戻るとももはいつものようにうざいオーラを放って
みんなとじゃれてる。




今日の仕事は無事に全部終わった。
桃も今日はベリーズの仕事で終わりだってはしゃいでいた。


「桃も今日はあがり?」
「うん♪」

「そっか、ゆっくり体やすめなよ?」
「ありがと、キャプテン」


少し吃驚した顔をして
お礼をいう桃を見てふと思い出した。


昔にあの暴走癖のあるももに
隠して、倒れるまで無理(もしくは逃走)するたび叱っていた。


そのたび、仕事だからとか正論を言って逃げようとしていたけど
仕事でも何でも命よりも重いものはないと言って叱ってきた。


朝にみた桃は昔を思い出させるには十分だった。


見事的中した私のカンは捨てたものじゃない。

ももは仕事を抜け出して姿を消した。
みんなで探したものの見つからず2日ほど経ったある日


ひょっこり帰ってきた。


ここからは、ももを泣かせて吐き出させようと思う。


絶対に、弱いところを見せない子だから
強引なくらいでもいい、少し空気を抜いてやらないと
また倒れるか2日ほど帰ってこなくなる。



「さて、今回はどこへ行ってたの?」
「…田舎の景色を見に…」

目の前で正座させて縮こまるももを見下ろす。

「みんな、すごく心配してたんだけど」
「…ごめん」




桃子視点


なんだか、どうしたらいいか分からなくなって
気が付けば、ももは知らない場所に居た。

波の音が響いて、葉っぱがこすれる音がする。
単独の仕事も増えてきて、ベリーズの仕事もそれなりにこなして

表ではぶりっ子を通さなければならず
裏ではしっかりすることを周りの大人に強要される。

ももがどれだけ頑張ろうが更に上を示され
泣けもせず気が付けば今に至る。


「あ、…メンバーからかぁ」
「せっかくだし、観光でもしてこうかな」


帰れば角をはやしたキャプテンが待ってるだろうし
今は楽しむとしよう。
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