短編 ベリキュー(スパ)

□きゅーと 2
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「ちょっ!私はいらないって」
「そんな事ないでしょ」

「お、同い年だし…」
「実質、1つ上だし私」


【雨時々はれ】


えりか視点


この子は溜め込んでいきなりぶっ倒れるから
見ていてあげないといけない。

ちょっとした事を意外と引きずったり
の、割りに能天気だったり。


ただ、ひとつ、私もこの子も年齢的には
一番上だから、変なプレッシャーがある。

私はどちらかといえば、叱りやすい性格らしくて
言われることも多いけど

舞美は常に全力だから、言われることが少ない
もしくは、言われるときに普段、言われない分まとめて

みたいな、状態。



それを、変えるために思いついた方法。




なにか、しでかした時
もしくは、アドバイスを聞かず行き過ぎたとき

お尻を叩く。



それで、まぁ今に至る。



「って、訳だから舞美も承諾したでしょ?」
「まさか、本気だと思ってなかったし」

「本気だから」
「ま、まって!」

腕をつかんで椅子に連行しようとしたら
慌てて弁解を始めた。


ってか、別室に連れ出された時点で分かってほしかった…



「わ、私はいらないよ」
「そんな事ないでしょ」

「お、同い年だし…」
「実質、私のほうが上だし」

出てくる言葉を跳ね返す。

「で、でも…」
「あぁ、もう!いいから来なさい!」


いつまでも、終わりそうにないから
舞美を膝の上に乗せた。

千聖とかよく叩いてるの見てるから
きっと、怖いんだろう。

でもね、千聖より厳しくされるんだから
恐怖も感じるかもね。


叩かれたことを周りに言わずに
分からせるには…悪いけど泣いてもらって

座るときに顔をしかめたくなるくらい
叩けばいい。



「えっ、脱がすの?!」
「3回とも脱がしてるでしょ」

「そうだけど…」
「私、脱がす派なの」

「…」
「じゃー始めるよ」

言い切る前に遠慮ない平手を落とした。

バシッ!!
「ま、まっ…った!!」
「少し、懲りようね」

びしっ!
「ちょっ!や、やだっ!」

舞美の場合、なんで叩かれてるかも分かってるから
お説教はあまりしない。

少しはするけど。


少しでも軽くなれば
明日、笑えていればそれでいいから。

50叩けば確実に泣くから
それまで、心を鬼にして、平手を落とす。


「え、えりぃ…もう、もうむりぃ」

「や、やだぁ」

「もう、しないからぁ…ふぇっ」

そろそろ、許し時
お尻も見事に赤いし。

いつもの、かんなやちさとや舞でも
ここまで、叩いたことあんまないから

少し、叩き過ぎたかなと思ったけど
いまさら、この位しなきゃ意味ないし。


「もう、おしまいだよ、舞美」
「えりぃ…ふぇっ…うっく」

泣きながら抱きついてくる
舞美がかわいい…

おっと、そうじゃなくて
頭を撫でて落ち着かせる。


「大丈夫?」
「うん」

「じゃっ、そろそろ戻ろっか?」
「うん、…ありがと」

どうやら、舞美にはすべてばれていたみたい。




楽屋



「っつ!…」
「舞美ちゃん?大丈夫?」

「へっ?」
「え?お尻痛いんでしょ?ゆっくり座ったほうが良いよ?」

そう、言われた瞬間、顔を真っ赤にして否定を始めた
舞美は


「千聖、なに言ってんの?痛くなんかないよ?」
「ほんとに?」

そういって、舞美のお尻を軽く叩いた。

「いっ!…千聖!」
「やっぱ、痛いんじゃん!」

「千聖、デリカシーなーい」と言った愛理
「だって、舞美ちゃん痛そうにしてたよね?」

「まぁ、そうだけど」
「でしょ?愛理もそう思ったよね?」

「目が赤い時点で泣いてるんだから、そこは触れちゃ駄目だよ」
「えぇ」

すごく、不満そうな千聖に
フォローをしてるんだろうけど出来てない舞

そして、心配している愛理に

私に叩かれるようになってから
大人の怒涛の説教があからさまに減った舞美。

「え、えりぃ」
「もう、そんなに言ってあげないでよ、舞美の顔赤いでしょ?」

「あ、ほんとだ!」
「ちょ、ちょっと、えり!」

笑えたらそれでいいんだ。
楽しい時間を共有できる幸せを感じる。

(舞美にとっては恥ずかしい時間か)

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